出版社が自社コンテンツを生かして運営しているWebメディア
出版業界のトレンドや傾向を分析し、コンテンツ作成のヒントを探る「幻冬舎式 出版業界研究」。
今回は、ブログが書籍化される際に、新たにつけられるタイトルの傾向について考察します。

書籍化される際に、タイトルは具体的になる傾向

ブログとは、主に運営者が毎日のようにコンテンツを更新するウェブサイトであり、多くの場合、運営者の日記のような形式をとります。そのため、タイトルは必ずしも書かれている内容が見えるものとは限りません。
そのような性質のブログが書籍化されると、想定読者に手に取ってもらいやすいように、タイトルが具体的になる傾向があります。それでは、一つひとつ事例を見ていきましょう。

『アイデアノートで普通の部屋がなぜか可愛くなる』

収納などの女性向け実用書は、ブログから書籍化されることが多いジャンルの一つです。
本書籍『アイデアノートで普通の部屋がなぜか可愛くなる』のもととなるブログは「いつでも、HOME ~ちいさな建売、おしゃれハウスを目指す~」となっており、サブタイトルに内容の方針が示されているものになっています。もし、ファンに読んでもらうだけであれば、タイトルはこのままであっても十分に魅力的であったかもしれません。
しかし、おそらく出版社側がより多くの読者に手に取ってもらえるように、「アイデアノート」という実用的な方法をタイトルに込めようとしたのだと思われます。そのため、本書は得られるメリットがわかるメリット系のタイトルがつけられています。

『内定力』

「〇〇力」はキーワード系に分類できるタイトルで、近年はベストセラーも多く、そのせいか多くの書籍がこの形式のタイトルになっています。
本書籍『内定力』の元となるブログは「みつしろゆうとの 楽しく、気持ち良く、適当に。」となっており、全く内容が不明なものとなっています。ところが、ブログ自体は最初から就活に関する話題がほとんどです。
本書籍は、その内容を流行のタイトル形式に落とし込みつつ、「内定力」という力強いキーワードを生み出した作品となっています。

『痛み・故障ゼロ! がんばらないで楽に長く走る: 脱力フルマラソンメソッド』

本書籍『痛み・故障ゼロ! がんばらないで楽に長く走る: 脱力フルマラソンメソッド』も、「痛み・故障ゼロ」「楽に長く」などといったメリットがうたわれるメリット系のタイトルです。
元となるブログは「整体師に学ぶ~マラソンによる筋肉痛改善方法と、フル完走ノウハウ(エンジョイラン.com)」です。このブログタイトルもかなり具体的ではありますが、あまり語呂が良くないので、内容の良さが伝わりにく面があります。その点、書籍では内容のメリットがスッキリ伝わるように改善されています。

まとめ

これまでの3つの事例で言えるのは、書籍は読者に向けて、具体的に内容を伝えるだけでなく、内容の良さも何とか伝えようとしている改善が行われているということです。もし抽象的なブログタイトルであれば、内容が伝わるように具体的にする必要がありますが、具体的にするだけでは魅力が伝わらないので、新しいキーワードを作りだしたり、言葉を整理して読みやすく伝わりやすい文章にしたりする努力を行っているのです。
こうした書籍タイトルの魅力というところは、出版社ならではの価値創造の一つと言えるのではないでしょうか。