出版社が自社コンテンツを生かして運営しているWebメディア

コンテンツ制作の現場では「紙かWebか」などという議論がしばしば聞かれます。しかし“良いコンテンツ”というのは、紙でもWebでも共通するところは多いはずです。最近では出版社が自らのコンテンツ制作力を生かし、Web領域で情報発信することが増えてきました。今回はそのような出版社がWeb領域で新しい取り組みをおこなっている事例をご紹介します。

女性誌のコンテンツとAI技術の組み合わせ『HOLICS』

HOLICS
https://holics.jp/

株式会社デジタルガレージと株式会社講談社がデジタルコンテンツ事業の分野で資本業務提携し立ち上げたWebメディア。HOLICSは、女性誌のコンテンツとAI技術を組み合わせてコンテンツを再編集し、配信するデジタルメディア。この新しいメディア形態を「コンピレーションメディア」と呼称しています。人気雑誌のコンテンツをテキストや画像単位に細分化し、自然言語処理によってキーワードの関連度をスコアリングしたデータベースを構築しているそうです。そのデータベースを元に、デジタル端末向けに最適な形に再編集し、配信しています。

出版社8社が連携しグルメ記事をデジタル配信『dグルメ』

dグルメ
https://gourmet.dmkt-sp.jp/gourmet/

株式会社ハースト婦人画報社など、出版社8社が連携し26メディアから厳選した記事を、株式会社NTTドコモが運営するグルメ情報サービス「dグルメ®」に配信。レストランの記事からレシピ動画まで月間約20本の記事を提供しています。各記事は、雑誌レイアウトから、HTMLのフォーマットに変換し、スマートフォンなどのデジタルデバイスでも快適に読むことができる形となっています。

月額5000円のビジネスパーソン向けサービス『NewsPicksアカデミア』

NewsPicksアカデミア
https://newspicks.com/academia/about

「本が売れない時代」と言われて久しい中で、本が持つポテンシャルはまだまだ発揮されていないのではないか――。そんな本の持つ可能性を最大限活用しようと、出版社とネットメディアがタッグを組んで開設している「NewsPicksアカデミア」は、経済と教養を学ぶプラットフォーム。本を教科書のように活用し、「リーダーの教養」をテーマにして、多数の講義やイベントを開催。リアル×ネットを通じて、新たな時代を担うリーダーや挑戦者が集う場を創ろうとしています。NewsPicksオリジナルの書籍を毎月1冊送付(紙・電子書籍どちらでも可能)し、テーマと連動したイベントも開催。月額料金は5000円(税込)。

まとめ

出版業界はWeb業界に広告費を奪われ、斜陽産業であるとよく聞きます。従来のやり方では、収益を維持することが難しくなっていることは確かです。しかし、コンテンツ消費の形が変わってきているだけであって、現代でも人々は良質なコンテンツを求めているはずです。だからこそ、今回紹介したような新たな取り組みをする出版社も増えてきているのでしょう。

今では、出版社編集者がWebメディアの編集を担当したり、Web業界で活躍した人物が出版社に活躍の場を移すといった話も多く聞きます。双方のノウハウや人材の移動が行われるなかで垣根は低くなり、コンテンツ制作の常識も変わっていくのではないでしょうか。