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今回は、書籍タイトルの付け方として、努力の手軽さを表すために時間や数量を制限したり、やることを単純化してタイトルにする「時間・数量制限系&単純化系」についてご紹介します。
参考にするデータは、紀伊國屋書店PubLine*の、2018年1月の売上ランキング(社会分野)をもとにしています。

2018年1月書籍売上ランキング(社会)の「時間・数量制限系&単純化系」

「時間・数量制限系&単純化系」のタイトルとは、「1日1分間勉強法」や「体温を温めると健康になる」といったように、少ない努力で効果を実感できることを伝えるタイトルをいいます。大切なことを可能な限りシンプルに伝えるタイトルでもあります。
2018年1月度の社会分野における書籍売上50位までを参考に、「1日1分間勉強法」のタイトルがいくつあるかを数えてみました。

18位『MBA生産性をあげる100の基本』グロ-ビス・嶋田毅/東洋経済新報社
26位『耳は1分でよくなる!』今野清志/自由国民社
40位『伝え方が9割』佐々木圭一/ダイヤモンド社
42位『6つの不安がなくなればあなたの起業は絶対成功する』坂本憲彦/実務教育出版

かつてビジネス書棚に溢れていた「時間・数量制限系&単純化系」のタイトルは減少傾向に

数年前まで、「~だけすればいい」というタイトルの書籍は量産されていましたが、2018年1月のランキングを見るとかなりすたれてしまった印象を感じます。例えば40位の『伝え方が9割』は2013年に発売された書籍で、コミカライズもされてシリーズ累計100万部を突破したベストセラーですが、一時の勢いはなく40位まで後退してしまっていました。

タイトルの付け方には流行がある

タイトルの付け方は、新しい価値を感じさせるものがベストセラーになると、その方式を多くの出版社がならって似たタイトルを付け、流行になることがあります。例えば『東大生が書いた~』や『スタンフォード式~』といった、有名大学の名を冠したタイトルが流行したことがありますが、こうしたタイトルが目に付くと感じた方もいるのではないでしょうか。

タイトル系統は、流行中であれば読者の感性にフィットしているということなので、多くの読者に手に取ってもらえるように似たタイトルの書籍が量産されますが、流行がすたれると読者は逆に見向きもしなくなるので、出版社はその系統を避けるようになります。「時間・数量制限系&単純化系」は2018年にすたれてしまった傾向があります。

しかし流行は繰り返しますので、数年後にはまた「時間・数量制限系&単純化系」のタイトルも増えていくかもしれません。タイトルを付けるには、そうした流行を読む力も必要と言えそうです。

まとめ

タイトルの付け方には流行があります。「時間・数量制限系&単純化系」のタイトルは、数年前に書店に溢れていた印象がありますが、2018年1月のランキングではすでにすたれていました。こうした流行を見抜く力も、タイトルを付ける際には必要になるのではないでしょうか。

※紀伊國屋書店PubLine(パブライン)
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