6つのマーケティング指標

近年は少額から始められる不動産投資商品も出てきていますが、一般的に不動産投資商品は単価が高く、購入までの顧客の比較検討期間が長期化する傾向があります。それに併せて、顧客に対するマーケティングも長期的に行う必要があるため、どうしてもコストは増大する傾向があります。

しかし、同業他社との激しい競争の中、何も考えずにマーケティングにコストをかけるのは得策ではありません。
今回は、マーケティングに役に立つ6つの指標から、効率的なマーケティングとはどのようなものかについて考えてみたいと思います。

現在のマーケティングは様々な活動の複合体のため、しっかりと指標を分析していく必要がある

マーケティングとは、「企業が利益を得る市場創造のための総合的な活動」のことを指します。市場調査や販促活動といったわかりやすいものから、流通やマーチャンダイジングなど表に表れないものまで様々な活動がありますが、現在は、市場のニーズを引き出すためにマーケティングツールを組み合わせて行使する、マーケティングミックスという考え方が主流となっています。

マーケティングミックスでは、企業側から見た「4P」と顧客側から見た「4C」をどのようにすり合わせていくかが重視されます。

6つのマーケティング指標

不動産投資会社にとっても、マーケティングの構造は基本的に変わりません。むしろ、顧客の比較検討期間が長引く傾向があるため、顧客の関心をマーケティングにより維持していくことが重要となります。そのためには、自社の不動産投資商品がどれだけ顧客のニーズに応えるのかを、WEBマーケティングやコンテンツマーケティングなどにより示していくことが求められます。

ただし、マーケティングの効果は即時的なものではなく、目に見えるものと見えないものがあるため、本当に効果のあるマーケティングを行えているのかどうか、しっかりと分析していく必要があります。その際に役に立つのがこれから紹介する6つの指標というわけです。

営業・マーケティング活動が効率的に行えているかを指標にすることで、問題点がないかを確認できる

さて、ここからは6つのマーケティング指標を紹介したいと思います。

1.顧客獲得費用(CAC)

CACとは、新規顧客を1人獲得する際に必要となった営業とマーケティングのトータルコストを指します。期間は1カ月、四半期、1年で設定し、その期間中にかかったマーケティングの活動費や広告費、携わった社員の給与、コミッションとボーナス、間接費を合計した金額を獲得した新規顧客の数で割ることで算出されます。
あくまでも目安となる数字ではありますが、利益に見合うマーケティング活動ができているのかを確認するのに役立ちます。

2.CACにおけるマーケティングコストの割合

次に、CACの中から、純粋にマーケティングにかかったコストのみが占める割合を知ることも重要です。この指標を長期的に追跡していくことで、マーケティング戦略やその効果にどのようなタイミングでどのような変化があったのかを認識することができます。

先述したように現在のマーケティングは様々な活動が組み合わされたものとなっています。そこで、CACにおけるマーケティングコストの割合の推移を追跡することで、現状を分析することができます。

例えば、この指標が下がっている場合、営業コストや間接費が増大している可能性があります。その要因がコミッションやボーナスであれば、マーケティングがうまくいっている証となりますが、給与や間接費の増大が原因でこの指標が押し下がっている場合、利益に見合う営業・マーケティング体制となっているのか見直す必要があります。

不動産投資会社では、営業部門とマーケティング部門が新規顧客開拓のために別々に動くことも珍しいことではありません。しかし、効率的なマーケティングを目指すのであれば、このような値を参考にし、できる限り部署間で連携を取っていく必要があります。

3.顧客生涯価値(LTV)とCACの比率

不動産や金融業界では、「総資産有利子負債比率(Loan to Value)」がLTVと略されることがありますが、こちらは「Life Time Value」で顧客生涯価値を指します。

LTVとは、1人の顧客が長期的に見てどれほどの利益をもたらしたかを示す指標となります。CACが新規顧客の価値を示す目安であるのに対し、こちらは既存顧客の持つ価値を示す目安となります。
LTVは、特定の顧客が一定期間で支払った金額から粗利をマイナスし、それを顧客のキャンセル率で割ることで算出できます。

LTV:CACでLTVの比率が高くなれば、営業・マーケティング活動の費用対効果が高いことを示します。ただし、この指標は高ければ高いほどよいというわけでもありません。この指標が高すぎる場合、企業として営業・マーケティング活動に余力を残しているケースが考えられます。それは自社の競争力の低下につながり兼ねません。適正な範囲を設定し、余剰が出た場合には再投資を行うことをおすすめします。

4.CAC回収期間

CACを企業が何カ月で回収できるかを見るための指標です。一般的に不動産投資業界では、商品の単価が高いため、成約した時点で回収できるようになっています。しかし、最近では顧客に合わせて少額から始めることのできる不動産投資商品を扱っている企業も増えつつあります。そのような際は、この指標を元に顧客の支払いがどの時点で利益に転化するのか確認しておく必要があります。今までそれほど気にする機会がなかったからこそ、注意が必要な指標だと言えるでしょう。

5.マーケティングに起因する顧客の割合

マーケティング活動が発端となって顧客となったケースの割合を調べた指標となります。一定期間に獲得した新規顧客の中で、マーケティング部門が獲得した見込み客が顧客へとコンバージョンした数を調べることで、導き出すことができます。

この指標によりマーケティング部門の見込み客獲得の取り組みが、新規顧客の獲得にどれほどの影響を及ぼすのか確認することができます。

6.マーケティングが関与した顧客の割合

5の指標と異なるのは、見込み客を顧客へとコンバージョンできたケースに加え、自社の営業活動の中で、見込み客を顧客へと育成する過程で何らかの接点を持った場合もカウントする点です。

現在、不動産投資業界では、営業部門とマーケティング部門をつなぐインサイドセールスという取り組みが注目を浴びています。見込み客と電話やメールで接点を持ち続けることで、見込み客の関心度合いを見極め、最適なタイミングで営業をかけるように導くという取り組みです。マーケティングの成果の数字としては表れにくい活動となるため、このような指標を確認することで、自社の営業・マーケティング活動にどれだけ貢献しているかを知ることができます。

まとめ

指標は部署ごとの活動を単独で見るものではなく、どれだけ組織的な活動ができているかを評価するもの

以上の6つが不動産投資会社がチェックするべきマーケティング指標となります。指標を出すことで、営業・マーケティング活動のどの部分が有効で、どの部分に無駄があるのかを知ることができます。ただし、指標だけではなく、その指標が導き出された原因をしっかりと把握することが重要です。現在のマーケティングでは、顧客獲得のために営業部門とマーケティング部門で様々な活動が行われています。しかし、それらの活動を単独で行うだけでは効果は薄く、インサイドセールスに代表されるようにどれだけ部署をまたいで連携できるかが今後のマーケティングの鍵となっています。

組織的に営業・マーケティング活動に取り組める企業が、今後の不動産投資業界の競争を勝ち抜いていくのでしょう。