「電話」と「メール」

B to Bビジネスでは他社との競争が年々激化しており、新規顧客の開拓に頭を悩ませている企業も多いようです。B to Bビジネスの商材は単価が高く、購入までの比較検討期間が長引く傾向があるため、見込み客と接点を持ち続け、関係性を強化していく必要があります。

営業活動の方向性を決定付けるファーストコンタクトは、それら関係をつくっていく入り口。B to B営業において特に重視でしょう。今回は、B to B営業において、「電話」と「メール」のどちらがより見込み客とのファーストコンタクトにふさわしいのかについて考えてみたいと思います。

電話・メールそれぞれに特性があるため、うまく使い分けることが重要

まず、大前提として「電話」も「メール」も営業ツールとしては重要なもので、ケースバイケースで使い分ける必要があるということです。ただし、その使い分けは顧客や見込み客の都合に合わせてであって、営業担当者個人の好みで使い分けてはいけません。このコラムでもどちらがより営業活動としてより効果があるのかという視点から考えてみたいと思います。

ここでは、「曜日と時間帯」「アプローチの位置づけ」「見込み客の地位」「バイヤーペルソナ」の4点を基準に比較します。

1.曜日と時間帯

営業において見込み客とコンタクトをとる際に最も気をつけなければいけないのが、相手企業の担当者と直に連絡を取ることができるかという点です。営業ではタイミングが重要となります。担当者と直接やり取りするタイミングが遅れれば遅れるほど、商談につながる可能性は低くなってしまいます。

B to Bビジネスでは顧客が商品やサービスの情報を事前に収集することが当たり前のことになっています。相手の情報は常に更新されていきます。そのため、営業にタイムラグが出ると、競合他社にその隙をつかれてしまう可能性があるのです。競争の激化するB to Bビジネスでは、どれだけ他社に先んじてアプローチできるかが重要なのです。そこで、効率よく見込み客と連絡が取れる曜日や時間帯を見極める必要が出てきます。

統計によると、見込み客に電話がつながる確率は、午前よりも午後、月曜日よりも金曜日の方が高い傾向があるようです。つまり、週後半の午後に見込み客に電話をすることで、相手と連絡が取れる可能性が上がるということになります。

一方、メールに関しては、スマートフォンやタブレット端末が普及したことで、出先でも確認することができるようになりました。そのため、メールを確認する機会は1日のうちに数度あるため、電話よりも見込み客と連絡が取りやすいというメリットがあるでしょう。

特に、移動中の空き時間はメールをチェックする可能性が高く、この時間帯を狙ってメールを配信することができれば、メールの開封率を向上させることができるでしょう。外出や会議は正午を基準に設定されることが多いため、正午前後にメールを送ることで目に留まりやすくするというのも一つの手です。

営業のファーストコンタクトでつまずいてしまっては、その後の営業で主導権を握れなくなってしまいます。そのため、見込み客の行動を想定してアプローチをかけることが重要です。アプローチ機会の多さという点では、メールに軍配が上がるでしょう。

2.アプローチの位置づけ

見込み客とのファーストコンタクトでは、アポイントの取り付け、見込み客の情報収集、同業者の紹介など、アプローチの目的によって、その強さが変わります。アポイントや自社商品の試用を依頼する場合、相手先に組織的な意思決定が必要となるため、強めのアプローチが必要となります。一方で、アンケートの協力や同業者の紹介の場合は、担当者の意思で動かせる可能性が高いため、営業のプッシュが必ずしも必要というわけではありません。

相手先に決断が求められる場合は、営業担当者がプッシュできる電話が、より多くの見込み客の情報が必要な場合は一斉配信が可能なメールが向いています。目的の違うアプローチをすべて同じ方法で行うのではなく、目的に合わせてアプローチを変えることが重要となります。

3.見込み客の地位

B to Bビジネスでは、商品やサービスの購入は、組織的な意思決定の下、行われます。そのため、ファーストコンタクトをとる担当者の地位によって、その後の営業方針が大きく変わってくるのです。WEBや展示会などで情報収集を行う担当者が大きな決定権を持つことは稀なケースです。そのため、より上位の担当者に効率的につながる方法が求められます。その場合は、1日でかけられる件数や時間帯に限りがある電話で手間をかけるよりもメールで素早くアプローチしていく必要があります。

一方で、見込み客の経営幹部クラスの連絡先がわかっている場合、中小企業などで情報収集を行う担当者が大きな決定権を持つ場合は、電話で直接やり取りすることで、意思決定のステップを早めることができます。

4.バイヤーペルソナ

どの企業にも企業風土というものがあります。歴史のある大手企業では、営業対応一つとってみても決まったやり方というものがあります。新興市場を担う若い企業であれば、担当者が効率やスピードを求めて、従来のやり方を嫌う場合もあるでしょう。見込み客となる企業や窓口となる担当者の情報からペルソナを設定し、適切な方法でアプローチしていく必要があります。自社の価値観を相手先に押し付けるのではなく、相手先の環境や企業風土をどれだけ考慮できるかでファーストコンタクトの成否が分かれるでしょう。

見込み客に最適なタイミングで営業をかけるように、最適な方法でアプローチすることが大切

以上の4点から考えると、見込み客の状況に合わせて電話とメールを使い分けることが重要です。BtoBビジネスでは、商品やサービスの単価が高く、購入までの比較検討期間が長くなる傾向があります。また、その過程では組織的な意思決定が行われるため、見込み客との関係性を維持・強化していく必要があります。

そのため、ファーストコンタクトで営業の方向性を定めて、うまく次のステップにつなげていくことが求められるのです。
現在は、技術の発展もあり、インサイドセールスやマーケティングオートメーションといった取り組みやツールで、営業活動をサポートすることができるようになっています。

獲得したリストを元に片っ端から連絡を取るような営業では、今のBtoBビジネスを勝ち抜いていけません。見込み客の情報や関心度合いから最適なタイミングでアプローチをかけることが求められているためです。ですから、当然ファーストコンタクトのアプローチ方法も見込み客に合わせて、最適な方法を選ぶことが重要なのです。

まとめ

電話やメールはあくまでも見込み客との商談創出のための方法であることを心得る
B to Bビジネスでは、他社との競争が激化している現状もあり、如何に効率的に営業活動を行い、新規顧客を獲得するかということが重視されています。

そのため、営業担当者にかかる負担も大きくなっており、担当者の判断でまとめて仕事を動かすケースも見かけられるようです。
しかし、見込み客が事前に情報収集を行うようになった今、どこの企業に対しても一律の対応をとるばかりでは、成果は上がりません。なぜなら、見込み客が複数の選択肢からより自社のニーズに応える企業を選ぶようになっているためです。

ですから、自社の営業担当者の都合に合わせて、電話やメールのどちらが有効かを決めるのではなく、見込み客の環境や関心度合いに合わせて、電話やメールを有効活用することが求められるのだと思います。