ページ表示速度

インターネットに関する技術の進歩は日進月歩で、インターネット上でできることは日に日に増えています。WEBサイトのデザイン一つとってみても、背景動画やメガメニューなど、スタイリッシュな要素を取り入れることで、他のサイトとの差別化を図るケースが増えています。

しかし、それに伴い、デザインに力を入れすぎたせいで、どれだけ待っても一向に表示が終わらないというようなWEBサイトも見受けられます。

スマートフォンやタブレット端末の登場で、今やインターネットは身近で手軽なものとなっており、WEBページの表示速度はユーザーの行動に大きな影響を与えるようになっています。そこで、今回は、WEBマーケティングにおかるページ表示速度の与える影響について考えてみたいと思います。

ページの表示速度の遅れはモバイルユーザーの直帰率やCVRに悪影響を与える

冒頭でも触れたとおり、現在はスマホやタブレット端末を使ってインターネットにアクセスする「モバイルユーザー」の数が増えています。

モバイルユーザーは移動中などのちょっとした空き時間にネットを利用するケースが多く、WEBサイトに快適性を求める傾向があります。また、通信速度や通信量に制限がかかることも多いため、それらを圧迫するようなWEBサイトは敬遠されがちです。

実際、Googleの調査によると、「ページが完全に表示されるまでに3秒以上かかると、53%のユーザーはページを離れる」「ページ表示速度が落ちるほど、ユーザーの直帰率は上昇する」というような結果が報告されています。
さらに、Googleのディープラーニングによる予測では、「表示速度が1秒から3秒に落ちると、直帰率は32%上昇」し、なんと「10秒に落ちると、直帰率は123%上昇」するという結果が出ています。

他にも、ページの読み込みが1秒遅れるごとに、「ページビュー(PV)を11%、コンバージョン率(CVR)を7%、顧客満足度を16%下落させる」という調査報告もされているようです。

表示速度に時間がかかれば、ユーザーはサイトのページを見ることなく、立ち去ってしまうということは誰もがわかっていたことですが、こうして数字の裏付けが取れている以上、企業としては具体的な対応策をとる必要があるのです。

モバイルユーザーの快適性に直結するページ表示速度にはGoogleも高い関心を持っている

Googleはこうしたモバイルユーザーの現状を十分認識しており、2018年3月に「モバイルファーストインデックス(MFI)」という取り組みを始めています。

MFIとは、これまでPCで閲覧した状態を元にページが評価されていた基準を、スマホやタブレット端末のようなモバイル端末における評価を基準に検索順位を判断するという取り組みのことです。

これにより何が起こるかというと、モバイルユーザー向けのWEBサイトの優劣が直接検索結果に反映されることになります。これまでもGoogleではモバイルユーザーが行った検索に対して検索結果を表示する際に、そのサイトやページがモバイルフレンドリーであるかどうかを加味していました。つまり、PCでの検索結果とは少し異なる表示が行われていたということです。

しかし、MFIによりPCでの検索結果とモバイル端末での検索結果の双方で、モバイルユーザー向けサイトの評価が優先されるという基準に統一されることになりました。企業が片手間にモバイルサイトを運営していては、評価の低下につながり兼ねないというわけです。

そして、Googleは2018年7月に満を持して、表示に関するアルゴリズム「スピードアップデート」の導入へと至りました。スピードアップデートの重要なポイントは2つあります。それは、「ページ読み込み速度の『極端に遅いページ』の評価が下げられること」と「モバイル検索においてもページ読み込み速度が評価の対象になること」です。ページの表示速度が遅いことで評価が落ちたサイトは表示の高速化で評価を「戻す」ことはできますが、現状では表示速度の高速化が検索アルゴリズムに与える影響は限定的で、検索順位を大きく押し上げる要因となっているわけではないので、注意が必要です。

そして、今のところ、MFIとスピードアップデートにも直接的な関連性はありません。MFIはあくまでも検索アルゴリズムによる評価が反映されたページリストであって、アルゴリズム自体ではないためです。しかし、モバイルユーザーは増加の一途をたどっているため、ページのリストがモバイルサイトで埋め尽くされ、PC向けのサイトには日が当たらないというケースも将来的に起こり得るでしょう。

また、Googleがモバイルユーザーを重視しているのは周知の事実です。ページの表示速度はモバイルユーザーの快適性に直接つながる部分なので、今後、評価のウェイトが大きくなっても不思議はありません。
ページの表示速度を改善させることは、今後に向けたSEO対策としても大きな意味を持つと考えられます。

ツールを活用して自社のWEBサイトの表示速度を確認しておくことで、効率的に改善することができる

では、実際に自社のWEBサイトの表示速度がどうなっているのか、気になる方もいると思いますので、ここで表示速度を計測できる代表的なツールを2つ紹介しておきたいと思います。

PageSpeed Insights

「PageSpeed Insights」はGoogleが提供する無料の計測ツールで、計測ページのURLを入力するだけでモバイルとPCの両方の表示速度を同時に計測することができます。表示速度は100点満点で採点され、修正が必要な「赤」、修正を考慮すべき「黄」、修正の必要がない「緑」の3段階で結果が表示されます。併せて、10個の改善項目に対する判定も示されるため、表示速度改善のために何が必要かを知ることができます。

Googleアナリティクス

WEBサイトの解析でおなじみのツール「Googleアナリティクス」でも、ページの表示速度を確認することができます。メニュー項目から「行動」→「サイトの速度」→「概要」を選ぶことで、「平均読み込み時間」や「平均リダイレクト時間」、「ページの平均ダウンロード時間」などの指標を見ることができます。ただし、確認できる数値はすべてのPVではなく、サンプリングに基づくデータであることを頭に入れておきましょう。

結果の数値はユーザーの通信環境に著しく影響を受けるため、ユーザー「分布」や「中央値」から多角的に分析することが必要です。

ページの表示速度が遅くなる主な原因は、画像データやファイルデータの容量が大きすぎることにあります。ですから、これらを最適化するだけでもページ表示速度の改善につながります。

画像データの最適化であれば、「不要な画像は使わない」「モバイルとPCで適切なサイズの画像を使い分ける」「画像を圧縮して軽量化する」といった方法があります。

ファイルデータの最適化の場合は、「CSSやJavaScriptのコードを圧縮する」「ページに必要な機能を選別して、CSS・JavaScriptファイルの読み込みを減らす」といった方法があります。

他には、「ブラウザのキャッシュを活用する」という方法もあります。キャッシュとは、通常であればサーバーから取得するデータをPCやモバイル端末に一時的に保存することで、ダウンロードするデータの量を減らすことができます。キャッシュの有効期限に余裕を持たせることで、同じサイトにアクセスした場合の表示速度を改善することができます。

ただし、キャッシュを残しすぎるとユーザーの快適性が下がるケースもあるので、適切に運用していく必要があります。まずは計測ツールを活用し、表示速度を遅くしている要因を優先的に改善していくのがよいでしょう。

まとめ

ページの表示速度の改善を求めるユーザーの声があるのであれば、それに応えることがマーケティングの本質

スマホやタブレット端末を利用するモバイルユーザーは日に日に増えており、WEBマーケティングにおいてもその存在は無視できるものではありません。移動中などのちょっとした空き時間にインターネットを利用するモバイルユーザーが多いため、手軽なネット利用を妨げるページ表示速度の遅さには拒絶を示す傾向があります。

実際にGoogleの調査でも、表示速度の遅さがモバイルユーザーの直帰率やCVRに悪影響を与えることが報告されているため、企業が具体的な対応策をとらざるを得ない状況です。

また、モバイルユーザーを重視するGoogleでは、モバイルサイトの快適性を上げる取り組みが熱心に行われており、ページ表示速度が今後の検索アルゴリズムで大きな位置を占めるのではないかと推察されています。そのため、今後はページ表示速度の改善がより一層求められていくでしょう。

しかし、それ以前の問題として、マーケティングはユーザーのニーズに応えて初めて成果の上がるものです。ページの表示速度の改善を求めるユーザーがいるのであれば、その声に応えるのがマーケティングとしては自然な流れなのでしょう。