カスタマージャーニーとは

マーケティングで成果を上げるためには、顧客のニーズを正確に捉え、適切なアプローチを行うことが求められます。そのため、自社の商品やサービス、WEBコンテンツなどに対するターゲットやペルソナを設定し、顧客の心理をつかもうとする様々な取り組みが行われています。「カスタマージャーニー」もそれらの取り組みの一つです。

今回は、「カスタマージャーニー」の意義や作り方、注意点などについて考えてみたいと思います。

企業マーケティングの方向性を決定付ける

まず、「カスタマージャーニー」とは、顧客が商品やサービスを認知し、それらに関する情報収集を行った上で購入、そして購入後に評価するという一連の顧客の動きを「旅」になぞらえて把握することを指します。

顧客の行動や思考、心理を時系列に並べ、可視化したものは「カスタマージャーニーマップ」と呼ばれます。では、なぜカスタマージャーニーが今求められているのでしょうか?

まず、最初の理由は、顧客を深く理解できるようになるためです。近年、スマートフォンやタブレット端末の台頭で、顧客がいつでも情報にアクセスできるようになっています。また、FacebookやTwitterなどのソーシャルメディアの発展で、情報拡散の方法やスピードがこれまでとは変わってきています。これらの環境の変化により、企業と顧客の接点は増え、顧客の行動も複雑化しています。

そこで、顧客のニーズに適切に応えていくためには、顧客の行動や心理を視覚化し、何を優先するべきかという判断が現在のマーケティングには求められているのです。

そして、これらの判断や、そのための施策はマーケティングに携わるすべての人間が共有する必要があります。現在のマーケティングでは、マーケティング担当者だけではなく、営業担当者や広報担当者、WEBサイトのコンテンツ作成者など様々な部署の人間が関わっています。

しかし、それらの担当者が思い思いに動いてしまっては、顧客のニーズに適切に応えることが難しくなってしまいます。そこで、カスタマージャーニーで顧客に対する共通認識を持つことにより、それぞれの担当者の役割分担をはっきりとさせ、最良のタイミングで最適な行動をとることができるようになるのです。

このように、カスタマージャーニーは企業のマーケティングの方向性を決定付けることに大いに役立ちます。

実際の顧客や現場の声を反映させることも重要

では、どのようにカスタマージャーニーを作成すればよいのか、具体的に見ていきましょう。

①ペルソナ設定

まず、カスタマージャーニーを作るためには、モデルとなる顧客が必要になります。そこで、役に立つのが「ペルソナ」です。近年、コンテンツマーケティングでは、ユーザーのニーズを正確に把握するためにペルソナを設定する企業が増えています。

ペルソナは、年齢や性別、住んでいる地域などの基本情報に加え、性格や価値観、職業や行動パターンといった詳しい設定を作ります。

カスタマージャーニーでは顧客の行動や思考、心理を視覚化するため、ペルソナのこのような設定は、現実に即したカスタマージャーニーの作成に大いに役立つのです。

②顧客の購買プロセスを定義

顧客モデルとなるペルソナを設定した後に必要となるのは、商品やサービスの購入までのプロセスです。どのような過程を経て、購入を決めるのかシミュレーションすることで、顧客を購入へと導くためにどのような施策が必要となるのか浮かび上がってきます。

「商品認知」「情報収集」「比較検討」「購入」を基本のフェーズとして、自社にとって必要な顧客の行動を加えていくのがよいでしょう。

顧客を効率的に購入へと導いていくためには、自社が顧客にどのような情報を提供できるのか、どのタイミングで顧客と接点を持てるのかなど、細かく設定して作りこんでいく必要があります。

③顧客に関する情報を収集

作成したカスタマージャーニーは、実際に顧客から得た情報を元に見直すことが重要です。①のペルソナ設定で自社にとって都合のいい顧客になっていないか、確認する必要があるためです。顧客の行動は複雑化しています。そのため、思わぬところから自社の商品と接点を持っている可能性もあります。実際の顧客や現場の人間にヒアリングやアンケートを行うことで、より現実に近いカスタマージャーニーを作成する必要があるのです。

カスタマージャーニーは「顧客の旅」です。企業の都合は踏まえずに、顧客目線を大事にすることを忘れないようにしましょう。

企業にとって都合のいい妄想とならないように変化させていく必要がある

カスタマージャーニーの作成は、企業のマーケティングにとって大きな助けとなりますが、注意点もあります。

まず、1つ目は企業にとって都合のいい妄想とならないようにする点です。カスタマージャーニーでは、そのゴールが企業の最終目標と一致します。そのため、「こうなったらいい」という企業の願望が反映されてしまうケースがあるのです。

特に、購買プロセスを作成する際は「購入」がゴールとなることが多いため、「購入しない」という選択肢が担当者の頭の中から消え、顧客にどうやって購入させるのかという最も難しいハードルがぼやけてしまうことがあります。

そうならないためにも、顧客や現場の厳しい声もカスタマージャーニーにきっちりと反映させていく必要があるのです。

次に、気をつけるべきなのは、部署の都合に合わせないという点です。
カスタマージャーニーを作成する際は、マーケティングに携わる人間をできる限り多く巻き込むことが理想です。それぞれの部署で顧客に対するイメージは変わります。そのため、様々な視点や意見を取り入れることで、顧客に対するバイアスを減らしていくことが重要なのです。

また、カスタマージャーニーはマーケティングにおける共通認識の側面も強いため、自らの意見が反映されていないことで不満を持たれてしまっては元も子もありません。
一人でも多くの人間の意見を反映させ、一人でも多くの人間と共有する、カスタマージャーニーにはそれが求められるのです。

そして、最後に、カスタマージャーニーは、定期的にリニューアルして、検証や改善をしていかなければいけません。多くの手間暇をかけたことで、カスタマージャーニーを作成したことに満足してしまう企業も多いようです。しかし、作成したカスタマージャーニーは実際に活用していかなければ、意味がありません。活用していく中で、ビジネス環境の変化や技術の革新といったものがいずれ起こります。そうなれば、当然顧客の行動や心理も変わります。

カスタマージャーニーは、顧客のニーズに応えていくためのものです。ですから、顧客に合わせて変化させていくことが求められるのです。

まとめ

重要なのはカスタマージャーニーを作成することではなく、どれだけ顧客目線で考えられるのかということ
企業と顧客の接点が増えたことで、顧客の行動は複雑化し、企業が同じマーケティングを繰り返していくだけではいずれ壁にぶつかります。

他社との競争に勝ち抜くためには、いかに顧客のニーズに応えていくのかが重要なのです。顧客を分析し、商品購入までの最適な道筋を考えるカスタマージャーニーは、今後のマーケティングでさらに重要なものとなっていくでしょう。

しかし、本当に重要なのは、できる限り企業の都合を排除し、どれだけ顧客目線に立てるのかということなのだと思います。