5W1H

仕事が行き詰ったり、考えがまとまらなかったりする際に、ビジネスの基本へと立ち返る意味でビジネスフレームワークの利用を勧められることがあります。しかし、フレームワークには様々な種類があり、どのフレームワークが自分に合っているのか、悩みの種が増えただけというようなケースもあります。

そのような際にお勧めなのが「5W1H」というシンプルなビジネスフレームワークです。今さらこんな単純なものでと訝しがる人もいるかとは思いますが、悩んだときこそ考えをシンプルにまとめることが効果的です。今回は、シンプルだからこそ忘れがちな「5W1H」について考えてみたいと思います。

具体的な情報から結論を端的に導くことができる「5W1H」はビジネスの場で有効

「5W1H」とは、「When(いつ)」「Where(どこで)」「Who〈誰が〉」「What(何を)」「Why(なぜ)」「How(どのように)」という6つの疑問詞の頭文字をとったもので、もともとはニュース原稿を書く際の基本として広まったものです。

学校の英語の授業で使われることもあり、懐かしさを覚える方もいるのではないでしょうか。現在は、ビジネスにおける情報伝達や共有、文章構成、アイデア出しなどのフレームワークとして利用されています。5W1Hの組み立て方は、「いつ→どこで→誰が→何を→なぜ→どのように」の順番で行われることが一般的なようです。

「いつ・どこで」という具体的な情報となりやすい部分で情報の整理を始め、次に「誰が・何を」を明らかにすることで結論をはっきりとさせます。最後に、「なぜ・どのように」という部分で、その結論に至った過程を説明するという流れとなります。

5W1Hを意識することのメリットは、情報の過不足に気づきやすくなる点です。相手に何を伝えたいのか、伝えるために必要な情報は何かを整理することで、スムーズなコミュニケーションを行うことができます。

ビジネスでは、口頭ではなく、文書での説明を求められることがあります。口頭だと相手の理解を考えて必要最小限の情報に止めておくことも、文書になると相手が何度も読み返すことができるため、情報を盛り込みすぎてしまう傾向があります。しかし、ビジネス文書では要件を伝えることが目的であって、情報を詳らかに伝える必要はありません。ですから、ビジネス文書では、5W1Hを意識して、伝えなければいけない要件が端的にまとめられているかを確認することが重要です。

フレームワークは事前準備、相手が求める情報を即座にわかりやすく伝えて初めて意味がある

さて、ここまでは5W1Hの一般的なフレームワークについて説明してきましたが、率直に言わせてもらえば、組み立ての順番などにこだわる必要はありません。このフレームワークにおいて重要なのは、それぞれの要素を漏れなくまとめることができているかどうかです。

情報の伝わりやすさと、相手が一番知りたい情報が必ずしも一致しているわけではありません。「いつ・誰が」や「誰が・どのように」、「どこで・何を」というように、相手が知りたいと思う情報の中心はその時々で変わっていきます。その問いに対して適切に答えられるかが重要なのです。5W1Hのフレームワークは、物事を相手にわかりやすく正確に伝えるためと、相手の質問に適切に答えるための事前準備であることを覚えておく必要があります。

また、5W1Hのフレームワークでは、すべての情報が同じ視点からまとめられているのか注意する必要があります。
プレゼンテーションやマーケティング戦略、コンテンツ制作など、応用の幅が広いフレームワークですが、それ故に誤った使われ方をするケースもあります。

5W1Hには「誰に」という要素が抜けています。そのため、施策の対象がぶれて、本来顧客のために行われるべきマーケティングやコンテンツ制作が、企業のために行われてしまう場合があるのです。ですから、「(顧客のために)誰が」「(顧客のために)何を」「(顧客のために)なぜ」のように、前提条件を加えて視点を統一させておく必要があります。

5W1Hのフレームワークは、余計な情報を整理するためのものではありますが、シンプルが故にスルーされてしまう事象もあると心得ておくことが重要です。

「誰に」や「いくら」という要素を加えることで、より具体的なフレームワークに

上記で触れた問題点を踏まえた5W1Hの発展形に、「6W1H」というフレームワークがあります。これは通常の5W1Hに「Whom(誰に)」という疑問詞を加えたもので、これを考えることによってターゲットが明確になり、企画の意図をはっきりとさせることができるようになります。
意外と忘れられがちなのですが、ターゲットによって自社や商品への知識量が変わります。そのため、情報を伝える際には、専門用語や言い回し、詳しい解説など、ターゲットに配慮する必要があるのです。特に、現在のマーケティングにおいて、企業から一方的に情報発信するだけでは、顧客に受け入れられません。ターゲットやペルソナの設定を行うのもそのためです。「誰に」という目的をはっきりとさせておくことで、戦略のブレが少なくなり、フレームワークをチームや組織で共有しやすくなるという効果があるのです。

また、ターゲットを設定することでビジネスの規模感がつかみやすいという利点もあります。ビジネスである以上、採算を考える必要があります。「誰に」向けてプレゼンを行うのか、「誰に」対して販促を行うのか、かけたコストに見合う成果が上げられるのかを考えることに役立ちます。

コストという点では、「5W2H」というフレームワークも存在します。これは5W1Hに「How much(いくら)」という概念を加えたフレームワークで、コストがいくらかかり、利益がどれだけ出るのかを把握するために利用されます。

「数字」を出すことで情報は具体性を持ちます。5W1Hの「いつ」という要素が、フレームワークに具体性を持たせることと同様です。そして、それが「金額」であればなおさらです。コストを意識することで選択すべき事象が明確になるため、無駄のない戦略や企画を考えることにつながります。

現在は、この2つを組み合わせた「6W2H」というフレームワークを使用している企業も増えているようです。ただし、精査する要素が増えることで、伝える情報が複雑になるので注意が必要です。特に、「金額」はビジネスにおいてトラブルにつながる場合がままあります。

これらのフレームワークが自身の考えをまとめる際だけではなく、相手に情報を伝える際にも使われるのは、まとめた情報を丁寧にわかりやすく相手に伝えることが重要だからなのです。

まとめ

情報の溢れる現代だからこそ、情報の取捨選別を行い、正確に「伝える」ことが求められる
ビジネスにおいては様々な局面で、情報を「伝える」シーンが出てきます。しかし、必要なことを必要なだけ伝えることは、想像以上に難しいものです。

現在は、インターネットの発展で世の中に情報が溢れています。情報収集を行うには便利な時代となりましたが、誰もが情報を正確に取捨選別できているわけではありません。ですから、普段から「5W1H」のようなフレームワークで、必要最小限の情報を意識できているかどうかでビジネスの行方も変わるのです。

これらのフレームワークを利用して、自身の思考をまとめ、相手にどう伝えれば伝わりやすいのかを見直すことはビジネスにおいて大きな意味があります。

情報の広まりとともに、様々な地域や分野との連携が増えている現在のビジネス環境だからこそ、正確にわかりやすく「伝える」というビジネスの基本が強く求められているのだと思います。