近年、インターネットの発展と、スマートフォンやタブレット端末の発展により、情報へのアクセスが誰でも容易になったことで、消費者が商品やサービスの情報を事前に集めることが当たり前のこととなっています。これはBtoBの世界でも同じで、これまでは企業同士の関係性を重視し、いわゆる「お付き合い」で広げていた仕事も、どれだけ見込み客のニーズに応えるかが重視視されるようになっています。今回は、BtoB営業のこれまでの方法に注目して、今後のBtoB営業がどうあるべきなのかについて考えてみたいと思います。

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見込み客の情報収集が容易になり、信頼関係に頼る従来の営業方法は通用しない

まず、BtoBビジネスの特徴は、商品やサービスの購入検討の期間が長く、ロジカルな意思決定が組織として行われるという点です。そのため、見込み客側の担当者への1対1の営業だけでは、商品購入まで持ち込むのが難しく、決裁者と商談するまで何度も顧客の元へ足を運ぶ必要がありました。結果的に、その過程で築かれた顧客との信頼関係が商談の創出に大きく影響を与え、既存の顧客の信頼を勝ち取ることが、次の仕事につながるというのが一般的な考え方でした。

しかし、ネットによる情報収集が容易になった昨今、見込み客側では競合他社の商品やサービスとの比較検討が事前に可能となり、自社の悩みや課題をより適切に解消できる企業へと顧客が流れるケースが増えています。

また、営業担当者は短期的な売り上げを見込むため、すでに関係性が出来上がり、商談につながる可能性も高い既存顧客に比べて、新規顧客を軽視する傾向があります。
既存顧客のニーズのハードルが上がり、新規顧客の開拓も進まない現状で、従来の営業方法のままでは行き詰まりを感じているのが、今のBtoBビジネスです。

そのため、従来のプッシュ型営業からプル型営業へと切り替えるべきなのか、プル型営業で本当に効率的な営業ができるのかに多くの注目が集まっています。

以下では、BtoBビジネスにおけるプッシュ型営業とプル型営業がどのようなものなのか解説していきたいと思います。

プッシュ型営業は、関係構築や維持には役立つが、タイミングが悪いと相手にされない

最初にプッシュ型営業について見ていきましょう。BtoBにおけるプッシュ型営業とは、テレアポやDMを駆使して、顧客との接点を作ることで、顧客の会社訪問へとつなげる営業方法です。自社から積極的に顧客へと情報を発信し、営業をかけるため、企業主体の営業スタイルだといえるでしょう。

メリットは、実際に顧客と商談に入った時にイニシアチブを取れるので、比較的自由な提案ができる点です。また、既存顧客との関係性を維持するという意味では、顧客の担当者と長期的に1対1でのやりとりを行うため、その効果が高いという面もあります。

デメリットは、1日に行える電話や営業の数に限りがあるため、どうしても対象となる顧客が絞られてしまう点です。加えて、見込み客の自社の商品やサービスに対する関心度合いを正確に把握することができないため、メールが開封されなかったり、担当者と連絡が取れなかったりと、タイミングが合わない際は顧客から相手にされないという非効率な営業の一面を持ちます。そのため、限られた選択肢がさらに絞り込まれるため、行き詰まりを感じている企業も多いようです。

プル型営業は、既存顧客・新規顧客の開拓を同時に行えるが、周到な準備が必要

では、次にプル型営業についても見てみましょう。BtoBにおけるプル型営業は、WEBサイトやセミナーなどで集客し、その中から見込み客を探していくのがメインの営業方法となります。ただ闇雲に集客しても効果が薄いため、自社の商品やサービスの周知や魅力を伝えることができるコンテンツマーケティングや、Webサイトのデータを分析することで、見込み客の関心度合いを計ることができるインサイドセールスなど、営業活動の効率化につながる要素の多いWebサイトが、今のプル型営業の中心となっています。
見込み客の自発的な情報収集が営業のきっかけとなるため、顧客主体の営業スタイルだといえるでしょう。

そのメリットは、やはり一度に多くの顧客とつながれる点にあります。特にWebサイトを活用すれば、時や場所を選ばず、かつ継続的に顧客とつながることができます。

また、Webサイトにおける見込み客の関心や動向をデータから数値化することができるため、見込み客のニーズを正確に把握することができます。それらの分析から、商品やサービスに対する見込み客の関心が高まった最適なタイミングで営業をかけられることもこの営業方法の強みとなります。加えて、昨今の見込み客のネットを利用した情報収集にも対応できるため、適切な情報やコンテンツを発信していくことで、見込み客から顧客へと育成することも可能となります。

既存顧客への対応と新規顧客の開拓が同時に行えることがプル型営業最大のメリットとなるのです。

デメリットは、集客につなげるための情報やコンテンツの作成に手間と時間がかかること。
また、見込み客のニーズがより鮮明になった状態での商談となるため、プッシュ型営業に比べると提案の自由度に欠ける面があります。他にも、見込み客のデータや分析を活かすためには、社内の営業体制の変更が必要となるので、それが最初のハードルとなるケースもあります。

積極的にプル型営業モデルを構築し、従来の営業と融合させたBtoB企業が勝ち残る

BtoBビジネスにおける、プッシュ型営業とプル型営業は双方にメリットがあります。
ですから、そのメリットをどう活かしていくのかが今後重要となるのです。

商品やサービスについて情報収集を完璧に済ませた見込み客に対して、何の武器も無くプッシュ型営業を繰り返しても、商談へ発展する可能性は低く、それどころか見込み客のニーズに応えた競合他社へと流れる可能性さえあります。

また、プル型営業は今後の営業活動に対して非常に有益な面があるものの、その体勢を整えるためには手間も時間もかかります。

商品購入の検討期間が長く、組織的に判断が下されるBtoBビジネスだからこそ、見込み客の選択肢から外されない努力をいち早くできるのかが求められるのです。
従来のプッシュ型営業の中に、積極的にプル型営業を取り込み、融合させること、それができた企業が今後のBtoBビジネスの厳しい競争を勝ち抜いていくのだと思います。