医療機関を選ぶ際の情報源として、Web媒体を利用している人が増えています。情報へのアクセスが容易で、情報量も多いため、自発的に情報収集を行い、自分なりに重視するポイントを元に、自分に合う医療機関なのかを判断しているようです。

株式会社幻冬舎ウェブマでは、全国の40代~60代以上の男女500人に対して、「信頼のおける医療機関かどうかをWebサイトのどの点を見て判断しているのか」について、調査を行いました。今回はそのデータを元に、医療機関が今後どのようにWebサイトを活用していくべきなのか、考えてみたいと思います。

→患者が医療機関を選ぶ際に意識していること(より詳しいレポートのダウンロードはこちら)

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患者は治療の実績や自身のニーズに応える情報を提供しているかが判断基準

まずは、信頼のおける医療機関かどうかを判断しているポイントについて、調査結果を見てみることにしましょう。

「治療の実績が多い」が45.4%でトップの回答となりました。やはり患者が医療機関を選ぶ際に一番重視するのは、自身の病気をその医療機関が治せるかどうかです。治療実績は、その判断の目安として一番わかりやすいのは言うまでもありません。

2番目に多かった回答は、43.2%で「知りたいことや不安を解消したい情報が多く掲載されている」でした。病気を患う人にとって、自身の精神的負担を軽くしてくれる情報は、そのまま医療機関への信頼とつながることがわかります。ただし、患者によって病気や症状は様々なので、そこへどのように対応していくのかが今後の課題になると見られます。

以上の2つが40%を超える半数近い回答を集めており、患者にとって最初の判断基準となっているようです。

次に多かったのは、「費用や治療方法が明確に示されている」で37.0%でした。どのような治療方法でどのくらいの費用で治療できるのか、費用を含めて、患者の中で高い関心を集めているようです。また、一度の診察時間では担当医に質問できなかったり、担当医の説明をよく理解できなかったことへのフォローがあるのかないのかを判断している部分もあると推測されます。

「院長や先生のプロフィールが詳しく掲載されている」が33.6%で、これに続きました。一番多い回答であった「治療の実績が多い」にもつながる部分ですが、こちらは患者が治療の専門的な部分をより知りたがっている回答だと思われます。専門的な治療が必要となる場合、その医療機関にスペシャリストがいるのかどうかは大きな判断基準になると見られます。

「治療機器の設備が整っている」も3割を超える回答となりました。患者の皆が皆、規模の大きい医療機関に受診できるとは限りません。規模が大きくなくとも、治療機器の設備が整っていれば、受診の際も安心できます。判断基準としては重要なポイントになるでしょう。

「最先端と思われる治療を行っている」は他の回答と比べて少し下がる19.4%となりました。これは先端医療が自由診療であるケースが多いことが影響しているように思えます。保険診療と比べると治療費が高額になることや、治療の効果がまだ一般に周知されていないことが、判断基準としては少し弱い原因になっているのかもしれません。

意外なことに、「書籍を出版、テレビ出演などの実績が多い」はわずか1.0%。知名度を上げることには有用なメディアも、それがすぐに患者への信頼感につながるというわけではないことがわかります。患者の信頼を得るには日々の地道な活動が必要となるのでしょう。

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情報を個別に考えるのではなく、一人の患者に流れの中で伝える努力が求められる

さて、回答の中では「治療の実績が多い」と「知りたいことや不安を解消する情報が多く掲載されている」が多くの支持を集めましたが、医療機関のWebサイトはそこにだけ力を入れれば十分だというわけではありません。患者の心理をよく理解することが重要です。

患者は「たくさんの医療情報」を知りたいわけではありません。あくまで「自分が知りたい情報をたくさん」知りたいと考えているのです。医療機関のWebサイトでは、どうしても医療機関の目線から自分たちに提供できる情報をコンテンツとして取り扱うことが多いようです。しかし、患者のニーズに応えるには、情報の見せ方や伝え方に工夫が必要となります。考えられる工夫としては、治療に関する情報を一つのストーリーとして患者に伝える方法があります。

自由診療である最先端のがん治療を例に考えてみましょう。

がん治療では、効果は認められているものの、国内では未認可のため自由診療として扱われる治療法が存在します。また、重粒子線治療といった最先端の設備を使った治療方法も最近では注目を集めています。こうした「最先端と思われる治療を行っている」ことや「治療機器の設備が整っていること」は、がん治療を求める患者にとってとても有効な情報です。
しかし、なぜその治療方法が必要とされるのか、どんな患者にその治療方法が適しているのかを明確に伝えることが求められます。

次に求められるのは、効果があるとわかったその治療の「費用や治療法を明確に示」すこと。特にがんは一度の診療で完治する病気ではなく、入院や通院も必要となるため、治療にかかる費用や要する期間といった現実の問題への丁寧な説明が求められます。「先進医療」と認定されている治療方法であれば、混合診療(保険診療と保険外診療の併用)が可能になるなど、医療機関だからこそ伝えられる情報があるはずです。

そして、その治療方法の効果を示す意味では、「治療の実績が多い」ことや「院長や先生のプロフィールが詳しく掲載されている」ことは大きな意味を持つでしょう。Webサイトの情報やコンテンツが別々に作られていたとしても、それを受け取るのが一人の患者である以上、流れの中でわかりやすく伝える努力が医療機関には求められるのです。

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まとめ ―患者に選ばれるためには、どれだけ伝える工夫ができるか―

患者が求めるのは医療機関と信頼関係を築くことです。なぜならそれが病気の完治への一番の近道だと知っているからです。
実際の診察では一度の説明では患者の理解が難しいことも、Webサイトの情報やコンテンツとしてなら何度も説明しなおすことができます。
また、そのコンテンツや情報において、患者にとってどの部分がわかりづらいのか、伝わりづらいのかを確認しながら、情報やコンテンツの補足や修正が行えるのがWebサイトの強みでもあります。

医療機関が患者の信頼を獲得し、選ばれていくためには、患者の理解のために情報を制限するのではなく、患者が段階的に理解できるように筋道を立てて伝える工夫が今後は求められるのではないでしょうか。


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