これまでは老後のための資金作りとしての側面が強かった「資産運用」ですが、近年ではサラリーマンの副業としての需要も増え、新たに資産運用を始める人の数が増加を続けていると聞きます。今回は、シュローダー・インベストメント・マネジメント株式会社が2016年に行った「第二回投資家意識調査 心がけていますか?リスクを抑えた安定運用~ジュニア投資家の『理想と現実』~」のデータを元に、今後どのように投資家へ向かって情報配信していくべきかについて考えてみたいと思います。

■関連ブログ
今後の不動産投資の営業は顧客ニーズを正確に捉えることができるかが鍵

投資への意欲はあるものの、それをうまく活かせていないジュニア投資家

まず、このデータでは、前提として、投資経験5年未満の投資家を「ジュニア投資家」、投資経験10年以上の投資家を「ベテラン投資家」と位置付けています。

ジュニア投資家とベテラン投資家にそれぞれの主な投資目的について尋ねてみたデータがあります。

<投資の主な目的は?>

「老後の生活資金や将来の備えなど、中長期的な資金形成のため」が、ジュニア投資家で70%、ベテラン投資家で75%と、共に7割に届く回答となりました。やはり投資家にとって「老後の蓄え」への不安は切っても切れない関係のようです。

<投資信託を購入する場合に想定する平均保有期間>

こちらはジュニア投資家とベテラン投資家で意見の分かれる結果となりました。「10年以上」という長期保有に関しては、ジュニア投資家が11%、ベテラン投資家が12%とほぼ同じ回答率となったのですが、それ以外の傾向では、ジュニア投資家は「3年未満」が33%と短期志向であるのに対し、ベテラン投資家では3年以上10年未満の層が合計で36%と、中期保有が中心となっていることがわかります。

これは自らの投資経験を超える期間の保有に関しては、まだイメージできていないことが大きな理由だと思われます。投資信託の長期保有に関する情報が錯綜し、とりあえず短期で持てばリスクは回避できると考えている層もいるようです。

<預貯金に対する投資資産の割合、投資先や資産配分に満足しているか?>

「不満・どちらかといえば不満」というネガティブな回答が、ジュニア投資家で42%、ベテラン投資家で34%という結果になりました。不満はジュニア投資家の方が強いようです。

<不満を感じる理由>

※「不満・どちらかといえば不満」と回答した投資家のみ

ジュニア投資家の不満のトップは、45%で「投資資産の割合が少なすぎる」という回答でした。

一方、ベテラン投資家では、「投資先に偏りがあり、十分に分散投資できていない」が29%で一番回答の多い不満となりました。
ベテラン投資家は投資内容の改善を求める傾向が強いことがわかります。

ジュニア投資家は投資への積極的な意欲はあるものの、うまく活かせていないのが現状のようです。

ジュニア投資家とベテラン投資家は求める情報が異なる

投資信託について、ジュニア投資家とベテラン投資家にさらに詳しく調査したデータがあります。

<投資信託を選ぶ際に重視する点(複数回答可)>
<現在保有している投資信託の投資先トップ5(複数回答可)>

投資信託を選ぶ際に最も重視するのは、ジュニア投資家が「リスクを抑えた安定運用」で48%、ベテラン投資家が「利回りを重視した運用」で44%という結果になりました。

共に40%を超える回答で、投資信託に求めるものの違いが鮮明に浮かび上がりました。

それは投資信託の投資先にも反映されており、双方とも「日本株式」がトップではあるものの、その次に続くものがジュニア投資家では「株式や債券など複数資産(バランス型の投資信託)」であったのに対し、ベテラン投資家では国内外のREIT(リート)となりました。

<投資信託を選ぶ際の不安(複数回答可)>

この調査に関しては、ジュニア投資家とベテラン投資家で同じ回答がトップとなりました。「投資(売り・買い)のタイミングや、市場環境に応じて資産配分(投資先ごとの投資金額・投資比率)を柔軟に変更することが難しい」でそれぞれ58%と61%で、過半数を超えています。

しかし、同じ回答といえども、中身に関しては少し見方を変える必要があります。それは「タイミング」に関してです。これまでのデータからわかる通り、ジュニア投資家が求めるのは「安定した資産運用」です。一方で、ベテラン投資家が求めるのは「より高い利回り」であるため、そのタイミングは両者で異なる場合があります。投資家情報はまとめて発信されることが主ですが、投資家のニーズに完全に応えられているかどうかについては疑問が残ります。

情報の取捨選択が難しく、資産配分は専門家に任せたいと考える投資家も

最後に、資産配分に関して調査したデータを見てみましょう。

<経済情勢や市場環境の変化に応じて、投資先の変更や資産配分の調整を行っているか?>

投資の経験の差がそのまま回答の差に出る結果となりました。ベテラン投資家では、「自分の判断で投資信託を売り・買いして調整を行っている」という回答が56%でトップになったのに対し、ジュニア投資家では、「必要性があると考えるが、どうしていいかわからないため、調整を行っていない」が、先の回答と同数の41%という数字になりました。ジュニア投資家の中でも、対応が真っ二つに分かれています。

<運用の専門家が市場環境の変化に応じて柔軟に投資先の資産配分を調整する、「資産配分おまかせ型ファンド」に関心があるか?>

資産配分については、投資経験の長さに関係なく、ジュニア投資家・ベテラン投資家の両方で高い関心が寄せられているようです。「関心がある/どちらかといえば関心がある」というポジティブな回答が、ジュニア投資家で55%、ベテラン投資家で49%となりました。

自身の投資判断に迷いの残るジュニア投資家でやや強い数字が出たのは想定通りの結果だと思われます。

投資判断の際に最も頼りにする情報源のデータがこちらです。

<経済情勢や市場環境が不安定な時、投資の関して最も頼りにする情報源は何ですか?>

「テレビ、雑誌、新聞、インターネットなどのニュースや情報」が、ジュニア投資家とベテラン投資家でそれぞれで52%と最も多い回答となりました。メディアの情報を元に判断する投資家が多いことがわかります。

意外なのは、専門家のレポートや、証券会社や銀行などの助言があまり重視されていない点です。投資全体に対する情報が多すぎて、その中から自分の求める情報を探し出すことが難しいと投資家に思われているのだと推測されます。

まとめ ―投資の知識や経験にマッチングした情報の配信が今後は強く求められる―

以上が、投資家への意識調査の結果となります。投資経験の長さによって、重視するポイントが異なるために、求める情報に違いが出ることがわかりました。経済情勢や市場環境の変化に応じて、投資先や資産配分を調整するためにも、投資家は自身のニーズに合わせた情報を強く求めているようです。

一方で、総合的な判断が必要となる資産配分に関しては、専門家に任せたい投資家も多く、投資経験の浅いジュニア投資家を混乱させる要因になっていると見られます。今後も新たに投資を始める人は増加すると予想されています。投資家の知識や経験に今以上にマッチングした情報配信の形が強く求められていくのだと思います。