近年、患者に対してロゴマークやパンフレットを通して視覚的なブランディングに努める病院が増えています。患者が病院を選ぶ時代にどれだけ病院に親しみやすさを感じてもらえるかを重視しているためでしょう。しかし、中には国民皆保険の日本の医療制度の下でこういったブランディングを行うことに否定的な立場の医療機関もあるようです。今回は病院やクリニックが行うブランディングの持つ意味について少し考えてみたいと思います。

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病院・クリニックをブランディングし、集患や増患につなげていくためには?

口コミや噂話も病院のブランディングの一種

病院やクリニックのブランディングは、今に始まったものではありません。「○○病院の○○先生はとても腕がいい」、「○○にかかった時は○○病院で診てもらうのが一番いい」など病院や医師に対する口コミや噂が昔からよくあるものなのはご存知のはずです。もしかするとブランディングに否定的な病院や医師たちは、そういった噂話が間違った形で伝わることを危惧しているのかもしれません。とはいえ、そういった口コミや噂話に患者が影響されてしまうのもまた事実です。

実際、医師や病院、クリニックの中には書籍やWebサイト、講演会などの方法を用いて、積極的に情報を発信している方も多くいます。病気の啓蒙に努めることで誤った情報が広まることを防ぎ、患者との信頼関係を築き、維持していくことが必要となったためでしょう。インターネットの発達により患者が自発的に情報を集めることが容易になった現在では、医師や病院もブランディングを完全に無視する訳にはいかないのかもしれません。

患者が治療の際に求めていることを知ることがブランディングのヒントに

では、医師や病院はブランディングにどのように向き合っていくのがよいのでしょうか?そのためには患者が病院やクリニック、医師に何を求めているのか知ることが重要となります。当然のことながら、患者が病院やクリニック、医師に一番に求めるのは病気の治療です。ただし、病気を治すという点で病院を差別化することはとても難しいものでもあります。どんな医療機関も病気を治すことに全力を尽くすのは変わらないためです。

しかし、その治療の過程にこそ患者が次に求めるものが眠っているのです。ここからは患者によって求めるものが少しずつ変わってくるのですが、治療の際に医師にできる限り真摯な対応を求める患者もいれば、できるだけ体に負担のかからない治療を求める患者もいます。かと思えば、多少高価でも最先端の医療による早期の治療を求める患者もいるのです。もし手術や長期に渡る治療で入院するともなれば、患者やその家族が病院の施設や設備を気にするのも無理ないことです。そこで病院や医師が患者が求めるものに対して何をどこまで提供できるのか、きちんと答えていく必要があるのでしょう。そして、こういった情報を見える化したものが、それぞれの病院のブランディングにつながっていくのではないかと思います。

病院・クリニックのブランド化は病院関係者のためでもある

さて、ここまではあくまでも患者と病院という視点から、病院のブランディングについて考えてきました。少し他の視点からも考えてみましょう。ここでよく考えてほしいのは、病院は一体誰のために存在するのかということです。病気に悩む患者のために存在するのは当然のことですが、医師や看護師、医療事務などその病院に勤務する人々のために存在するのもまた事実です。

つまり、何が言いたいのかというと、病院のブランディングはそこで勤務するスタッフのモチベーションや人材の募集にもつながるということです。地域に根ざし、その地域の人々に愛されることで仕事の責任感が増す医療従事者もいれば、最先端の医療技術に魅力を感じる医療関係者もいるのです。適切な病院のブランディングができれば、患者だけでなく、そこで働く病院関係者のためにもなるのが大きなポイントです。

まとめ ―患者の求めに答えることがブランディングにつながる―

世の中に医師や病院の情報が溢れる今の時代に、ただ病院としてそこにあるという姿勢を貫くのは難しいことなのかもしれません。患者が何を求めているのかを理解し、患者のために何を提供できるのかを発信していくこと、それが病院のブランディングへとつながり、引いては患者と病院との信頼関係にもつながる、そういう時代がやって来たのだと思います。
当然それは患者に対してだけではなく、その病院で働く医療従事者との関係にも同じことが言えるのかもしれません。

口コミや噂話に触れましたが、医師や病院によっては書籍やWebサイト、講演会などの方法を使って患者への周知に努めている方々も多くいます。そのやり方が病院のブランディングにどのようにつながっているのか、メリットやデメリットはないのかについてはまた別のブログでお伝えしたいと思います。


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