厚生労働省が2018年6月に改正医療法を施行したことで、医療機関のWebサイトに掲載された内容を含む「医療広告」に規制が入ることになりました。きっかけは自由診療を行う一部の美容医療などで虚偽及び誇大広告によるトラブルが後を絶たなかったためです。自由診療は、健康保険が利かないため治療費が保険診療と比べ高額なものになりやすく、トラブルが発生するとニュースで大きく取り扱われるケースが多かったため、結果として自由診療全体にあまりよくないイメージが広まることになりました。

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なぜ自由診療は治療費が高額になりやすいのか?

自由診療は、中長期に渡って治療後の経過が分かる症例が少ない治療法も存在するため、患者の不安につながりやすい傾向があります。また、最先端の医療を導入することも多い上に、健康保険適用外となるため治療費が想像以上に高額になるケースもあります。例としては、歯のインプラント手術や近眼を治すためのレーシック手術などが有名なものとなります。この二つの手術においては、著名人による体験談などを耳にする機会も多く、一般に周知が進んでいるおかげで、自由診療の中でも認知を得ているものだと言えるでしょう。

自由診療に健康保険が適用されない理由には、厚生労働省が認可していない治療法や薬を使用するためです。例えば、海外では効果が認められているものの、国内では厚生労働省からの承認がおりていないため、対象の抗がん剤を使用したケースがそれに当たります。あくまで薬の効果が認められていないということではなく、認可が間に合っていないというのがポイントです。

治療費に関して、保険診療では患者側の3割負担が原則ですが、自由診療では患者側の全額自己負担が基本です。そのため自由診療にかかった治療費がより高額なものになります。しかし、患者の体質や病状に合わせた治療が行えるため、自由診療の方が治療の効果も高くなる傾向もあります。

自由診療の医療広告基準を正しく理解する

ここで、自由診療における厚生労働省の「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関して広告し得る事項等及び広告適正化のための指導等に関する指針」(医療広告ガイドライン)を見てみましょう。厚生労働省の医療広告ガイドラインのQ&A(事例集)に次のような質問があります。

「歯科用インプラントによる治療については、広告可能でしょうか。」

その質問に対する返答が、

「『自由診療のうち薬事法の承認又は認証を得た医療機器を用いる検査、手術、その他の治療の方法』として、我が国の薬事法上の医療機器として承認されたインプラントを使用する治療の場合には、公的医療保険が適用されない旨と治療に掛かる標準的な費用が併記されていれば、広告可能です。」

というものです。

つまり、適切な方法に則った自由診療の医療広告は厚生労働省に認められているということです。

また、それは裏を返せば、正規の方法で広告を出している自由診療に関しては高い信頼性が認められるということにもなります。残念ながら、この事実が医師をはじめとした医療従事者をはじめ、患者側の一般人に周知されているとは言いがたい状況です。医療機関、医療従事者は患者側に対して、一度ついてしまったマイナスイメージを払拭するにはそれ相応の努力が必要となります。

まとめ ー専門家とのパートナーシップが適切な医療広告へとつながるー

では、適切な自由診療の医療広告のために何が必要となるのでしょうか。それは医師や病院、クリニックが得意な分野を活かすことで患者の信頼を獲得することにカギがあると考えられます。医師や病院、クリニックの得意な分野は言うまでもなく医療分野です。最先端の医療を導入した自由診療を行える医師は言うなればその道のエキスパートです。専門的な立場から正確な情報をわかりやすく伝えることができます。

ただし、広告分野に関しては専門家という訳にはいきません。そのためには医療広告のガイドラインをはじめ、適切な表現方法を知っているパートナーが必要となります。

適切な情報を求める患者へ適切に届ける、そのためには専門ノウハウが必要となります。近年Webを通じてマーケティングを進める医療機関も増えていますが、必ずしも内製で展開している訳ではありません。専門の会社の協力を得て、マーケティングしているケースもよく耳にします。正確な情報をわかりやすく発信して患者に受け入れてもらうこと、患者が悩み、求めていることに真摯に向き合って、情報発信をする努力が必要です。

これからの医療広告、特に自由診療の医療広告の目指すべき姿は、医師や病院が持つ知識や情報をパートナーの力を借りて、継続的に発信していくことにあるのだと思います。そのために医師や病院が自分たちに適したパートナーとして、広告やマーケティングの専門家を見つけることがその近道となるのではないでしょうか。


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