BtoB営業の鍵

BtoB営業で永遠の課題となっているのは「新規顧客の開拓」です。BtoBビジネスでは商品やサービスの単価が高く、導入までの比較検討期間が長くなる傾向があるため、既存顧客との取り引きだけにすがっていては、自社の売り上げを伸ばすことが難しく、企業の成長のためには純粋に売り上げの上乗せとなる新規顧客との取り引きが重要な役割を果たしているためです。

しかし、「競合が強い」「警戒されて電話にすらでてもらえない」といった声が現場の営業担当者から上がることからもわかるように、B to Bビジネスの厳しさは増すばかりです。そのような現状を打破する鍵は「名刺」にあります。
今回は、営業担当者の「デスクの引き出しに眠る名刺」の活用方法について考えてみたいと思います。

「引き出しに眠る名刺」から再アプローチをかける

展示会やセミナーなどで、営業担当者が名刺交換を行ったものの、その時点での相手の反応が今一つよくなかったため、そのまま放置されている名刺は少なくありません。多忙な営業担当者が商談につながる可能性の低い見込み客をフォローし続けるのは難しく、少しでも売り上げにつながる可能性のある別の見込み客へと関心が移ってしまうためです。

しかし、現在のB to Bビジネスでは、顧客が事前に情報収集を行うことが当たり前になっており、顧客の需要が顕在化したタイミングでアプローチをかけても、時すでに遅く顧客の選択肢から外されているというケースもあるのです。

そこで、現在注目されているのが「リードナーチャリング(見込み客育成)」という考え方です。普段からリード(見込み客)との関係性を維持することで、その関心度合いを測り、リードの関心が高まった最適なタイミングでアプローチをかけることにより、効率的に営業活動を行おうという考え方です。そのため、リードナーチャリングでは、リードとの関係性の維持と自社内でのリード情報の共有が重要なポイントとなります。

リードナーチャリングの方法は様々

リードナーチャリングを実践する方法は様々ですが、「メールマーケティング」「セミナー」「WEBマーケティング」「インサイドセールス」の4つが代表的なものです。
ここではそれぞれの特徴を見てみましょう。

メールマーケティング

リードナーチャリングの方法として長く利用されているのが「メールマーケティング」です。FacebookやTwitterといったSNSの発展で、メールに対する比重が下がっていると考える風潮もありますが、ビジネスにおける一対一のコミュニケーションでメールほど信頼できるものはなかなかありません。企業の公式文書としての意味合いを持ち、かつ相手のニーズに合わせた内容で送ることができるため、リードとの関係性を重視するリードナーチャリングにおいては今も有効なのです。

まず、リードのニーズに合わせた「メールマガジン(メルマガ)の配信」で関係性を維持することができます。
また、リードのメールへの反応から、関心度合いの高まったリードに対して「ステップメール」でアプローチをかけることができます。ステップメールでは、リードのニーズや状況に合わせて、リードにとって役に立つ情報を段階的に配信することができるため、より効率的な育成が可能になります。

他にも、細かな条件付けで分類されたリードにだけ配信する「セグメントメール」で、リードの関心を刺激することもできます。

セミナー

自社の商品やサービスに関連のあるテーマで「セミナー」を開催し、リードの悩みや課題に直接答えることで、リードの信頼を獲得し、顧客へとつなげていく方法です。セミナー参加は、メルマガへの登録や資料のダウンロードに比べハードルが高いため、その時点ですでにリードの関心が高く、商談につなげやすいというメリットがあります。

また、対面で質問に答えることができるため、リードにより強い印象を残すことができます。
リードの育成に加えて、新たなリードを獲得できる可能性があるのも、セミナーの利点となっています。

WEBマーケティング

自社のWEBサイトにリードのニーズに応えるコンテンツを揃えることで、リードの関心を引き、関係性を強化していくことができます。B to Bビジネスでは、商品やサービスに対してリードが事前にWEBで情報収集することが当たり前のことになっているのに加え、導入までの比較検討期間が長いため、リードの好きなタイミングで必要な情報にアクセスし、容易に他社との比較が行えるかが大きなポイントとなっています。

そのため、「WEBマーケティング」により、自社のWEBサイトやコンテンツをリードにアピールしていくことはもはや必須と言えるでしょう。

WEBコンテンツだけでなく、製品資料やホワイトペーパーのダウンロードなど、リードのニーズに細やかに応えていくことが、リードの育成につながるのです。

インサイドセールス

近年、リードナーチャリングにおいて注目されているのが「インサイドセールス」です。インサイドセールスとは、電話やメールを使ってリードとの関係性を維持し、最適なタイミングを測って実際の商談につなげていく取り組みや、それを担当する部署のことを指します。

リードナーチャリングに求められるものと一致する部分が多いため、マーケティング担当者と営業担当者の橋渡し役になるだけでなく、同時にリードナーチャリングも請け負うケースが一般的です。

インサイドセールスを導入するためには、社内のシステムや体制を変更する必要も出てくるため、これまでの施策と比べて大掛かりなものとなりますが、他社との競争が激しくなっているB to Bビジネスでは、他社に先んじて効率のよい営業活動を行うために、今後主流になっていくのではと見られています。

「眠った名刺」を「商談の鉱脈」に変えられるかどうかはMAツールの活用次第

リードナーチャリングの方法を見てきましたが、これはどれか一つを選んで行うというものではありません。自社に適した方法を組み合わせて有効活用することで初めて、B to Bビジネスの競争を勝ち抜けるのです。しかし、これらの方法を組み合わせるためには、リードの情報の分析や共有が求められ、日々の仕事に忙殺される営業担当者にそれを行う余裕はありません。そして、それが「名刺」を眠らせる原因となっているのです。

しかし、技術の進歩でそんな状況も変わりつつあります。現在は「マーケティングオートメーション(MA)」ツールの登場で、リードの情報の分析や共有が効率的に行えるようになっているのです。

MAツールとは、マーケティング活動における複雑な処理や大量の作業を自動化し、その効率を高めることができるツールです。リードナーチャリングにおいては、リードの獲得から育成までに求められる業務を自動化・連動化することで、自社の商品やサービスに対する関心が高まったリードを効率的に選別できるようになります。

MAツールの主な機能には、リードの情報や行動履歴を一元管理できる「リード管理」、その情報を元にリードを分類し、ニーズに合わせた情報の配信を可能にする「メール配信システム」、自社のWEBサイトの問い合わせフォームや資料ダウンロードフォームの作成ができる「WEBページ生成」、WEBサイトの閲覧やメルマガの開封といった、リードの行動を点数化し、分析することのできる「リードスコアリング」などがあります。

特に、リードスコアリングの機能は、自社の商品やサービスへのリードの関心度合いを測り、最適なアプローチタイミングを見極めることに大いに役立つため、営業担当者の「眠った名刺」を「商談の鉱脈」へと変える可能性を持つのです。

まとめ

「名刺」を含む、自社の限られた資源を有効活用する方法を貪欲に求めることが今後の成否を分ける
現在のB to Bビジネスでは、他社との競争の激化や顧客の比較検討期間の長期化といったビジネス環境の変化から、自社の限られた資源をどれだけ有効活用できるかに成否がかかっています。

MAツールによりそれらの資源が効率的に活用できるというならば、これを使わない手はないでしょう。
同じことが、営業担当者の「デスクの引き出しに眠る名刺」にも当てはまります。リードとのタイミングが合わずに商談へと発展しなかった「名刺」をそのまま放置することは、それこそ資源の無駄遣いです。

それらの「名刺」を貴重な資源として、社内で情報を共有し、有効活用していく方法を貪欲に求めることが、今後のB to B営業の成否を分けるのだと思います。