コンテンツマーケティング事例【医療編】

患者が自発的にWEBから情報収集を行い、病院を選ぶようになった昨今、集患のためにWEBに対応することは今や病院にとって必須のものとなっています。しかしながら、ただWEBサイトを開設すればそれで十分というわけではありません。なぜなら患者はWEBサイトのコンテンツを通じて、病院の価値を判断するためです。

そのため、医師や病院は、患者を実際に診察する前に、まずWEBサイトのコンテンツで患者を満足させる必要があります。とはいえ、医師は医療に関しては専門家であっても、WEBコンテンツに関しては門外漢です。どのように患者のニーズに応えればいいのか悩む医師や病院も多いようです。

そこで、今回は、コンテンツマーケティングの視点から、病院のWEBサイトがどうあるべきかについて考えるとともに、上手く運用を行っている病院・クリニックの事例をご紹介します。

顧客との関係性を長期に築くコンテンツマーケティングの考え方は医療業界との相性がよい

まずは、コンテンツマーケティングについて解説しておきましょう。コンテンツマーケティングとは、「企業が自社の商品やサービスのファンを創り出す」取り組みのことを指します。ユーザーにとって価値のあるコンテンツを発信することで、潜在顧客を掘り起こし、自社の商品やサービスの購入へとつなげていくことを目指します。

医療業界で当てはめるとすれば、患者にとって価値のあるコンテンツを発信することで、患者との信頼関係を深め、病院への受診に向かわせるといったところでしょう。

コンテンツマーケティングのポイントは、自社の商品やサービスを購入させてそれで終わり、というわけではなく、以降も継続的に顧客と接点を持ち続けることで、顧客を「お得意様」にまで育成していく点にあります。そのため、患者と長く付き合っていく必要のある医師や病院にとって、コンテンツマーケティングの考え方はとても相性のいいものだと言えるでしょう。

患者に対して何ができるかを積極的に伝えていかなければ、今後は患者の選択肢に入れなくなる

では、病院におけるコンテンツとは一体どのようなものなのでしょうか?病院のWEBサイトでは、専門とする診療科や病院の診療体制、診療日時に交通アクセスなど、病院に関する基本的な情報をコンテンツとして発信するのが一般的です。

しかし、それらの情報で他の病院と大きく差別化を図ることは難しく、患者の病院選びの決め手になるとは言い切れません。病気や症状に悩む患者が求めるのは、自身にとって有益な情報やコンテンツです。

一方で、外科や内科、産婦人科や耳鼻咽喉科、眼科など、病院が掲げている診療科から専門とする分野はわかっても、医師や病院が本当に得意とする分野や治療に関しては外から見てもよくわかりません。「この病院でしかできない」という診察や治療に関する強みを病院が積極的に発信していかなければ患者には伝わらないのです。そのため、自発的に情報収集を行い、病院を選ぶようになった患者に対しては、それらの情報をWEBサイトのコンテンツとして示す必要があるのです。

しかし、ただWEBサイトにコンテンツを並べたところで、自然と患者がWEBサイトを訪れるようになるわけではありません。まず、患者に病院のWEBサイトを見つけてもらうためには、コンテンツにより患者の関心を引き、患者のニーズとマッチングしたコンテンツを提供していく必要があるのです。そして、その際に役に立つのが、コンテンツマーケティングという考え方です。

コンテンツマーケティングのポイントは、「顧客にとって価値のあるコンテンツを作成」し、「顧客を育成」することで、顧客の信頼を獲得し、「顧客をファンにする」ことです。顧客を患者に置き換えると、患者にとって価値のあるコンテンツを通じて、信頼関係を築き、かかりつけの病院を目指すということになります。

また、コンテンツマーケティングには、「コンテンツは資産として残るので継続的に顧客を集めることができる」「その分野の専門家として信頼される」「顧客に愛着を感じてもらえる」「幅広い地域の顧客に情報を拡散できる」というメリットがあります。

いずれのメリットも集患を目指す病院にとっては有益なものとなるでしょう。実際、WEBサイトのコンテンツに力を入れる病院は増えており、病院のコンテンツをどれだけ活用できるかが、今後の集患のカギになると見られます。

専門とする分野や病院の特色を患者にわかりやすく伝えることが鍵

WEBサイトのコンテンツを活用することで、患者の注目を集めている病院はすでに存在しています。そのような病院がどのようなコンテンツを揃えているのかをここからは見ていくことにしましょう。

Rheumatismm

Rheumatismm

「とうきょうスカイツリー駅前内科」が運営する、リウマチや膠原病に関する情報を発信するWEBサイトです。リウマチと膠原病の専門医である院長がそれらの病気や症状についての正しい知識と最新情報をブログ形式で発信しています。

病気や症状をある程度絞り込むことで、専門的な内容をわかりやすく伝えることに成功しています。ブログの最後には院長自らが解説する動画も用意されており、患者に対してとにかくわかりやすく、正確に情報を伝えようとする院長の配慮がうかがえます。

自身の専門分野に関する知識や経験をしっかりとコンテンツに落とし込んでいるため、リウマチや膠原病に悩む患者にとってとても有益なサイトになっています。こうしたブログの存在がクリニックの認知度向上と患者の信頼獲得につながっていることがわかります。

耳鼻咽喉科 渡辺医院

耳鼻咽喉科 渡辺医院

千葉県松戸市にある「耳鼻咽喉科 渡辺医院」が運営する、耳鳴りに関するWEBサイトです。「耳鳴り」や「めまい」という一般的な症状に重点を置いたコンテンツが揃えられています。耳鳴りやめまいに関する基礎知識や対処法などが公開されているのですが、「キーン」や「ブーン」といった擬音を交えた症状の紹介の仕方で、患者がイメージしやすいように配慮されているのがこのサイトの特徴です。

「前向きな気持ちで治療に臨むことが大切」という病院の理念はサイトのデザインにも反映されており、柔らかなイラストや色使いのサイトとなっています。

耳鳴りやめまいという症状をわかりやすく解説することにより身近に感じてもらうことで、同様に病院の存在も身近に感じてもらい、耳鳴り外来への受診を勧めているのだと見られます。

武蔵野総合病院blog

武蔵野総合病院blog

埼玉県川越市にある「医療法人 武蔵野総合病院」が運営する、病院スタッフによるブログサイトです。日々の出来事とブログを執筆した部署が行う日々の業務を組み合わせた内容となっており、病院内でどのような取り組みが行われているのかを知ることができます。

病院の勤務実態に関する言及も多く、集患と併せて病院スタッフの採用を推し進める狙いがあるのだと見て取れます。地域医療に重点を置く同病院にとって、病院スタッフが患者とどう向き合っているかを発信することは大きな意味を持ちます。地域住民のかかりつけの病院となることができるよう、積極的に情報を発信することで、病院を身近なものに感じてもらい、患者からの信頼を獲得する狙いがあるのだと思われます。

小児科オンラインジャーナル

小児科オンラインジャーナル

「株式会社Kids Public」が運営する、小児医療に関する情報を発信するWEBサイトです。同社が運営する遠隔健康医療相談サービス「小児科オンライン」に付随するコンテンツで、同サービスに参加する様々な病院の小児科医たちが小児医療に関する記事を執筆しています。これまでのサイトとは少し異なり、病院というよりは医師個人の信頼を高めるサイトになっています。

多くの医師による集合知的なサイトとなっているため、様々な病気や症状への知識や対処を学ぶことができるため、子を持つ親にとってはとても有益なサイトになっています。

同社のサービスを通じて、記事を執筆した医師にLINEや電話で相談することができるようになっているため、記事で得た保護者の信頼感はそのまま医師に反映されることになります。また、現在の勤務先をプロフィールで公開している医師も多くいるため、それぞれの病院の認知度向上にもつながっていると見られます。

まとめ

コンテンツマーケティングの手法を取り入れ、患者に愛される病院作りができるかが今後の集患を分ける

コンテンツマーケティングで成果を上げるためには、良質なコンテンツの積み重ねが重要となります。それは集患を図る病院のWEBサイトでも同じで、患者にとって価値のあるコンテンツを積み重ねることにより、患者との信頼関係を構築していく必要があります。

そのためには、患者と真摯に向き合い、わかりやすく丁寧に病院の強みを発信していくことが求められます。現在は2018年6月に施行された改正医療法により、病院のWEBサイトはすべて医療広告にあたり、誇大広告や虚偽広告と見られるようなコンテンツを公開することが禁じられています。

つまり、患者に向けて、今まで以上に正確でわかりやすい情報の発信が必要となるのです。そうした環境下で集患を図るためには、コンテンツマーケティングの手法に学び、患者に愛される病院作りが求められるのだと思います。