医療広告ガイドラインによって、Webサイトの表記・表現が取り締まりの対象になっています。
虚偽広告と誇大広告はそれぞれ「刑事罰則もある虚偽広告。違反対象にならず、自院をPRするには?」と「どこまでが誇大広告?使用しがちな記載と表現に万全な注意を!」にて解説しました。
今回はこれらの大元となる「客観的な事実の証明」について解説いたします。
客観的な事実がないと判断されるケースとは
客観的な事実といえない広告とはどのようなものなのでしょうか。サイトに掲載された文言を裏付ける根拠やデータがないものが客観的な事実とは異なるとされます。具体的には次のような例があります。
客観的な事実がないと判断される文言
「免疫療法でこれまで治らなかったがんも必ず治ります」
「たった一度の施術で若返りの効果を実感できます」
(解説)施術の回数や完治は約束できるものではありません。ユーザーが混乱しかねるため、規制対象になります。
「お客様満足度98%!」
(解説)客観的なデータがなく、不当に受診をあおるものになります。
「理想的な医療環境」
「比較的安全な手術」
(解説)「理想的」「比較的」は、個人の主観によるものであり、客観的な事実と証明できません。
「一日ですべての治療が終了します」
(解説)治療後に定期的な処置等が必要であるにも関わらず、上記のような文言を使用してはなりません。
「親切なスタッフと清潔な施設で、良かったです(40代・女性)」
(解説)患者の体験談は、優れた医療施設であることを示す「誘因性」の高い記述となるため、掲載してはなりません。
違反懸念のあるWebサイトは通報される恐れも
厚生労働省は、昨年8月24日より「医療機関ネットパトロール」を運用開始し、違反の懸念があるWebサイトの情報を一般ユーザーから集めています。誰でも簡単に違反報告が可能です。通報されたWebサイトの運営者は適切な措置が求められることでしょう。
自院の魅力を患者に伝えることは続けるべき
クリニックを探す一般ユーザーが、信頼性の有無を正確に判断するのは難しいものです。完治するかのような表現をWebサイトですれば、ユーザーが混乱してしまいます。
患者にとって友人の口コミや地域での評判は、Webに限らず貴重なクリニック選びの判断材料となっていました。Webサイトに掲載されている体験談という口コミを参考にしてきた一般ユーザーは多いことでしょう。しかし、現在は医療機関のWebサイトでは口コミや患者の体験談を使うことはできません。
今後は、他コンテンツにてユーザーを惹きつけることが必要です。まずは自院について掘り下げ、魅力が何なのかを考えることから始めましょう。次に一般ユーザーの知りたいこと、悩みに寄り添ったコンテンツを用意することが肝要です。
まとめ
- Webサイトの表記には客観的な事実でないことを表記してはならない。
- Webサイトでは患者を混乱・困惑させてはならない。
■参考サイト
・医療広告ガイドライン(厚生労働省)
・医療広告ガイドラインに関するQ&A(厚生労働省)
・医療広告相談窓口一覧(厚生労働省)