はじめに
患者が病院を選ぶ昨今、病院としてもただ患者を待つだけでは立ち行かない時代がやって来ています。しかしながら、「医療広告ガイドライン」にも則って積極的に取り組んでいるのに今ひとつ集患につながらない、そんな悩みを抱える病院も多いようです。
今回は、集患のために病院側として一体何ができるのか、集患に悩む病院を例に挙げて、一緒に考えてみたいと思います。
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院長
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事務長
Aクリニックのケース
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最近、患者の数が伸び悩んでいるみたいだが、実際のところ、どうなの?
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明らかに新患の数が減っています・・・。
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結構な費用を使って宣伝をしているはずなのに、集患につながっていないのか?
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宣伝当初は成果が出たものの、医療広告規制が入ってから、うまく成果が出ていません。
改正医療法により自由診療の広告展開がより難しくなった
2018年6月に厚生労働省が施行した改正医療法により、医療機関のWebサイト上の掲載内容がすべて「広告」とみなされ、規制されることになりました。Aクリニックがアピールしていたがん治療も自由診療のため、積極的な広報が難しくなってしまいました。加えて、患者の体験談の紹介ができなくなったために、PR効果が下がっているようです。
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しかし、規制一つでそんなに宣伝の効果が変わるものなのか?
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はい。当院としては、最先端のがん治療を売りにしていたもので、今回の規制でアピールできなくなったのは痛いところです。将来の病院の経営のことを考えるとなかなか厳しいと言わざるを得ません。
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だが、困っているのはウチの病院だけではないはずだ。他の病院はどうなんだ?B病院なんかもウチと同じはずだろう?あそこもがん治療がメインなんだから。
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確かに。ただ詳しいことはわかりませんが、集患に関しては困っていないようです。同じ時期に宣伝を始めたはずなんですが、あちらは上向いているようです。
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何でそんなに差が出るんだ?一体ウチと何が違うの?
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わかりません・・・。今度B病院の事務長にそれとなく聞いてみることにします。
~数日後〜
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それでB病院の件一体どうだったの?
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ああ、そのことなんですが、まずは院長にも見てもらった方が早いと思います。
病院のWebサイトの他に別サイトを開設し、見込み患者の流入に成功
B病院では、がん治療に悩む患者のために医師に相談できるコンテンツやがんに関する情報を広く掲載しているWebサイトを開設していました。がんの種類や進行度でどのような治療があるのか、医師の立場から詳しく丁寧に解説するQ&Aコンテンツなど病気で苦しむ患者が共感し、勇気付けられる内容となっているのが特長的なサイトです。
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ふむ、私から見れば知識も情報も基本的なことばかりだと思うのだが。
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それは院長が医師だからです。このサイトに訪れるのは患者やその家族なんですから、これが大事なんです。
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そういうものか?
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そういうものです。患者が求める情報に真摯に応えることに意味があるんです。
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そうか。そういえばウチの宣伝はどうだっただろう?
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当院なりに患者のためにとは思いましたが、果たしてそれが本当に治療を求めている患者に届いていたかといえば・・・。
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効果的ではなかったという訳か。しかし、病院の評判なら別に口コミでも構わないだろう。サイト一つでそんなに変わるものなのか?
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どうやらWebのコンサルティングを専門とする会社と組んで展開しているようです。B病院の事務長はWebに疎く、最初はどうなるものかと思ったようですが、結果が出てホッとしたと仰っていました。
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最近、B病院はX治療法のできる病院として評判になっているようです。B病院のある地域の患者だけでなく、それ以外の地域からも患者がやって来ており、それが集患につながっているようです。
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X治療法ならウチも導入しているのにな・・・。
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はい。当院では、患者が受診してからX治療法を紹介する形をとっておりましたので、その意味では大きく遅れをとっていたと言わざるを得ません。
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患者の疑問に答えることや、治療法の紹介などウチでできることも多いな。
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はい。事務局としても、先進医療と保険診療の併用や高額医療費制度を説明することで患者の力になれると思います。
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ウチの病院で何ができるのか、ウチにしかできないことは何なのか、考えてみることにしよう。
患者が受診するまでの導線を用意する
B病院では、戦略的にWeb展開を行っていました。
まず、患者にがんという病気への知識を深めてもらうため、がん治療に特化したサイトを開設しました。サイトの中で悩みや疑問に丁寧に答えていくことで、患者の信頼感を高める努力をしています。
次に、B病院が力を入れているXという最先端のがん治療について詳しく解説しています。もちろん、現状では自由診療となるので公的医療保険が適用されず、治療費が高額になること、その一般的な費用などの情報も開示しています。
そして、X治療法の更なる相談窓口として、B病院の公式サイトをリンクさせ、興味を持った患者がそのまま受診できるようにWeb上で予約システムも導入しています。患者の興味ががんという病気からその治療法へ、治療法から治療できる病院へ、とスムーズに進むような流れをWeb上で作り上げているのです。
まとめ
- 独自の強みを病院のブランディングにつなげていくことが集患につながる
- 病院が伝えたいことに固執すると患者は逃げていく
- 患者が求めている情報を徹底的にリサーチした上でコンテンツをつくる