はじめに

ネット全盛のこの時代、WEBマーケティングの重要性は経営者や経営幹部の方なら実感していることと思います。東京大学大学院情報学環編『日本の情報行動2005』と同学情報学環編 橋本研究室・電通総研『2010年日本人の情報行動調査』を比較すると、情報源としてのインターネットの重要性を感じている人は41.4%→61.4%とたった5年の間に20.0%も上昇しています。

それと比例するように、企業のPRツールもWEBサイトが非常に重要な位置を占めるようになりました。各種WEB広告を打ち出すだけでなく、自社や商品・サービスの強みをより多くのユーザー=見込み客に知ってもらえるように、WEBサイトの運用を行わなければなりません。必然的にWEB担当者は社内において重要なポジションとなりますので、大手企業であればたいていは広報専任のWEB関連部署が既に設けられています。

しかし、中小企業では依然として総務や営業担当者がWEBの業務を兼任していることは珍しくありません。株式会社イノーバの調査結果によると、中小企業に対して、「マーケティング専任の担当者は何人いますか?」という質問をしたところ、66%の企業が「特にいない」と回答しています。中小企業では、人的リソースが不足しているためにWEBの専任部署や専任者を置くことが困難で、いわゆる「兼任WEB担当者」が非常に多いのが実態です。言い換えれば、WEB周りのことは任されているけれども、通常業務もあるが故にWEB運用に割く時間が足りない、任されたものも何から始めればいいのか検討もつかないと悩みを抱えている方がほとんどということです。

今回は多くの頭を悩ませる兼任WEB担当者に対して、WEBの重要性の再確認と、WEBサイト運用に関するステップを解説していきます。

社長

社長

都内で不動産事業を展開するR社のオーナー社長。WEBの重要性は認識しているものの、WEB業務についてはほとんど知識がない。
営業部長

営業部長

R社の営業部長。WEB=営業ツールだからとWEB担当に任命されたが、営業部門の業務も膨大なもので、WEBサイトの制作・運用を進めることができていない。

R社のケース

社長

この前のWEBサイトの話だけど、どこまで進んでいる?

営業部長

はい。現在情報収集段階です。

社長

あれ?2週間前もそんな話していなかったっけ?いつ頃までに完成させられるの?

営業部長

申し訳ございません。営業の業務も通常通りあるため、どうしても割ける時間が短くて。また、調べているとWEBサイトの制作や運用と言っても、行うべきタスクが多く何から手を付ければいいのかも悩んでおりまして。

社長

まぁ、分かるけど、君も営業部長なら早めにやらなければいけないことは感じているよね?最近営業成績も芳しくないんだし。業務負担を減らすためにも今頑張らないと。

営業部長

承知致しました。業者の選定なども行わなければいけないのですが、どこまで外部に委託すべきでしょうか?

社長

それは予算を決めたのだから、予算内にできる範囲でやってみてよ。ブログの記事とかは自分で書くことができるから、どちらかというとデザインをお願いしたいよね。こう、シュッとしたかっこいいものとかさ。

営業部長

シュッとしたものですか。。。まぁ、自社でできるものはできる範囲で行いたいですが、そこに割ける労力と時間にも限りがありますので、どこまでできるか・・・。

社長

うん。できる限り自社でお願いね。ただ、自分の仕事はおろそかにならないように。営業も任せてあるんだから。あ!メールマガジンとかもいいんじゃない?

営業部長

そうですね・・・。となると、もう少し時間を頂きたいです。

社長

そんなこと言っていたら、いつまで経ってもWEBサイトの制作はおろか、運用することで得られる問い合わせ獲得なんて夢のまた夢じゃないか!

営業部長

申し訳ございません・・・。すぐに前進させます!

そもそもWEBサイト運用は片手間では不可能?

中小企業に多く見られる「兼任」WEB担当者ですが、上記にもあるように、時間の確保ができていないこと、何から始めればいいか分からないがゆえに経営陣から無理難題を押し付けられるケースが多く見受けられます。営業部や経営企画部、あるいは人事部内にWEBマーケティングの部署が立ち上がることは中小企業ではよくあることです。

そこで、必ず直面するのが「時間」と「知識」が足りないということです。そもそも、WEBサイトを本格的に運用するためには、非常に多くの工程が必要となります。WEBサイトの目標やゴール、具体的なターゲットの設定、その上での自社の強みのブラッシュアップ、コンテンツの制作。メールマガジンの配信を行うのであれば保有しているリストの活用の方針設定など、一言にWEBサイトと言っても、多くの時間と手間がかかるものなのです。

自社の強みを知ることがWEBマーケティングの第一歩

WEBサイトの運用は非常に手間のかかる作業です。コンテンツひとつ作るにしても、書きなれていない方が筆を取っても中々前に進まないことでしょう。では、知識のない兼任WEB担当者はいったい何をすればいいのでしょうか?

5年ほど前であればWEB担当者は、パソコンの専門知識さえあればある程度のことはできていました。しかし、時代とともに多様化するWEBマーケティングの手法から、WEBの知識に加えて自社の商品やサービスに関する深い知識も必要になっています。もしあなたがWEB担当に任命されたなら、まず行うべきは「WEBサイトのゴール・目的を設定」し、その上で「自社や商品・サービスの強みを正確に把握すること」です。

企業からの一方的な情報発信の時代は終焉を迎えています。その中で、自社の強みを見込み客に伝えるためには、自社の商品やサービスの競合優位性を把握し、それをどのように見込み客が知りたい情報に変換し、発信するのかが重要となります。情報を得た見込み客がその情報発信している企業に対して興味・関心を抱き、最終的にはファンにまで育成することができるWEBサイトであれば、集客やブランディングといった様々な問題が解決されることでしょう。

何から始めればいいのか分からないのであれば、まずは自社や商品・サービスの強みの理解を深めてください。そして、打ち出すべき方向性を決定した際に初めて業者に外部委託するのか、自社内でコンテンツを作るべきなのかという次のステップに進むことができます。WEBに関する知識はなくても、自社の強みを理解することは可能なはずです。棚卸しをすることが最初の仕事です。

まとめ

  • まずは自社のWEBサイトの現状を把握しよう
  • サイトのゴールや目的は明確に
  • 自社や商品・サービスの強みを深堀りすることが大事