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2017年8月17日

口コミ発信者と受信者の動機にみる 口コミの影響力

スマートフォンの普及によりソーシャルメディアが発達した結果、口コミの範囲が拡大し、その影響力は非常に高くなってきました。
電通総研メディアイノベーション研究部による調査(2016年)では、若年層の76%がSNSから影響を受け、消費行動を起こした経験があることが明らかになりました。
近年では想定外のヒット商品が多く誕生しており、そのほとんどはSNSによる影響によるものといわれています。
例えば、室町時代や応仁の乱を取り扱った番組や書籍はヒットしないとされる中で、中央公論新社から発行された新書『応仁の乱』は34万部のヒットとなりました。
今まで注目されてこなかった空白の時代背景と地味な設定が受け、ツイッターによって拡散されたことがヒットの要因とされています。
また、サントリーから2015年に発売された炭酸飲料「レモンジーナ」は“土の味“とツイッターで拡散され、投稿数は数日で25万件に膨れ上がり、テレビや新聞でも取り上げられました。
この影響力は、どのように発生するのでしょうか。
口コミが発生する動機を、消費者行動論の視点から考えていきましょう。

口コミ発信者はなぜ口コミを発信するのか?

口コミを発信する側の心理としては、以下の3つが考えられます。

①利他的な動機
自らの情報発信によって誰かの役に立ちたいという心理によるものですが、他人に影響を与えたいという心理もまた考えられるでしょう。

②自己表現欲求
おしゃれな自分やセンスの良い自分をアピールしたいという動機です。
大ヒットした映画「君の名は。」も、楽曲を提供したRADWIMPSのファンがSNSで拡散したところからヒットが始まったとされています。自らの所属する準拠集団をアピールしたい欲求から始まったと考えられます。
また中華人民共和国でも、「網紅店」と呼ばれる、SNSの口コミから行列店が発生する現象が起きています。これらの店舗はいずれもオシャレでストーリー性のあることから、自身のセンスを発信したいユーザーの心理が拡散に繋がっていると考えられます。

③口コミそのものを楽しみたい
コミュニケーションとして楽しみたい、孤独を紛らわせたいといった動機によるものです。
先に挙げたレモンジーナの例もそうですが、アニメの「けものフレンズ」もSNSからヒットした作品です。
キャラクターの言動や裏読みをSNSで楽しむことが拡散につながり、ヒットしました。

上に挙げた3つの原則からは外れますが、認知的不協和理論もご紹介しておかなければならないでしょう。
これは、人間が矛盾を抱えることに違和感を覚え、自らの行動に一貫性を保ちたいと思う傾向にあることを言います。

例えば、ある商品を購入してから欠点が見つかり、購入を後悔したものの、みんなが
使っているから結果的に満足している、などと理由を後付けして自らを納得させるこ
とです。
この心理的傾向から、自分が購入した商品に不満を抱いていても、これは良い商品だと発信することによって、自分自身を納得させようと無意識にはたらきかけることがあります。さらには、一度発言した内容に対して矛盾が生じないように、発信者本人のロイヤリティがさらに高まるとも考えられます。

口コミ受信者ははなぜ口コミを気にするのか?

反対に、受信者側が口コミを参考にする理由には、以下の2点が考えられます。

①商品判断の難しさ
優れた商品が数多く開発される現代において、どれが良い商品なのか判別しづらくなっているからです。また、購入への背中を押してもらいたいという心理も考えられます。

②商品選択におけるリスクの高さ
高額な商品を購入する際の金銭的リスクは言うまでもありませんが、身に着ける商品では自らの評判を左右するリスクがありますし、無駄な時間を過ごしたくないという時間的損失を避ける心理も働いています。
これら受信者側の問題を解決サービスが、口コミサイトや、ショッピングサイトの商品レビューです。とはいえ、第三者の意思が見え隠れするため、純粋な口コミとは言えない部分もあります。

口コミが与える影響力とは

このように、発信者側と受信者側の動機を見比べると、見せたい欲求と知りたい欲求がかみ合っていません。発信する側に、商品を売り込もうとする下心が見えづらいことから、受信者側は情報の真実性が高いと判断するのです。
この点において、一般的な広告よりも口コミの方が説得力が高いと言えますし、インフルエンサーと比べても一般人の口コミが優れていると言えます。
売りつけようとする意思が丸見えになってしまうと、口コミの効果は減少してしまうのです。

■身近な友人こそが最大の口コミ? 発信源効果

口コミの影響力の大小が発信者の魅力に依存していることは、言うまでもないことでしょう。これを「発信源効果」と言い、「信憑性」と「魅力」の2種類の影響力があると考えられています。
まず「信憑性」では、発信する人の特徴と情報の内容が一致していると判断すると、信憑性が高く感じ、説得力が高まります。
科学の知識を持っている人が語る家電製品の口コミや、おしゃれな女性が勧める化粧品については、信頼度が高いと感じることができるでしょう。
「魅力」では、「推奨者の社会的地位の高さ」や「受け手側との類似性」があると説得の効果が高まります。
同年代で好みが似ている人による口コミは、その魅力が高まります。この点では、身近な友人の口コミは、商品への魅力度が高いといえます。
このことから、口コミにおける影響力の強さは、「専門性と類似性の高い発信者」が秀でていると考えられています。
ですから、狙いたいターゲットに近い一般人に商品の知識を伝え、教育していくことは、口コミ戦略の布石となると考えられるのです。

最後に

低欲求時代と呼ばれる近年、モノを売ることは大変難しくなっています。このような時代において、口コミの活用は非常に有効な手段になるでしょう。
とはいえ、口コミの拡散を狙うことは大変難しいものです。コントロールしようとすると真実性が低くなってしまいますし、今回ご紹介した例でも、予想外のヒットが多くを占めました。
しかし、「楽しみたい」ユーザーの存在や、自らの存在を認めてほしいという欲求による拡散力が見えてきました。これらのユーザーをうまく誘導し教育することが、口コミを企画する手がかりとなりそうです。
また、口コミは一定のロイヤリティを持ったファンによる拡散行為と考えられることから、ファンのロイヤリティを高めることも、企画の深みを高めることになるではないでしょうか。

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