幻冬舎ウェブマのWebマーケティング情報ブログ

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「エピック・コンテンツマーケティング」にみるコンテンツマーケティングの目的と仕組み づくり

『エピック・コンテンツマーケティング~顧客を呼び込む最強コンテンツの教科書~(日本経済新聞社)』は2014年に日本語版が出版された書籍です。CMI(コンテンツマーケティング・インスティテュート)創設者でコンテンツマーケティング戦略の第一人者であるジョー・ピュリッジが2013年にアメリカで出版しました。
著者であるジョーは、何故コンテンツマーケティングに「エピック」の文字を加えたのでしょうか。その意図を読みとりながら、理解していきたいと思います。

コンテンツマーケティングとは

コンテンツマーケティングとは、正式な定義として紹介されている文章を引用すると、以下のように記されています。
“コンテンツマーケティングとは、有益で説得力のあるコンテンツを制作・配信することによって、明確に定義・認識されたターゲット・オーディエンスを引き寄せ、獲得し、エンゲージメントを作り出すためのマーケティングおよびビジネス手法を指す。その目的は、収益につながる顧客の行動の促進である。”ついつい分かったような気になってしまいますが、文章を分解して捉えるとその意味がよりよく分かってきます。

・「(ユーザーにとって)有益で説得力のあるコンテンツ」
・「明確に定義・認識されたターゲット」
・「エンゲージメントを作り出すため」のもの
・「その目的は、収益につながる顧客の行動促進」

書籍中の
“顧客はあなたたちのことも、あなたたちの製品やサービスのことも気にかけてない。関心があるのは自分自身のことだけだ”との言葉にあるとおり、明確にターゲット像を把握し、ユーザーメリットを考慮した“押し売りではない”コンテンツでなければなりません。

また、ユーザーに次の行動を促すための施策(CTA:コールトゥアクション)がと収益につながるアイデアがなければ、それはマーケティングではなく、ただのコンテンツであると喝破しています。
特に、ソーシャルメディアとの違いにおいては、ソーシャルメディアはブランド認知と既存顧客の維持を主目的としているのに対して、コンテンツマーケティングは潜在顧客にも働きかけて購入へと導く効果があるとし、その有効性を説いています。

もちろん、ソーシャルメディアを使用しないのではなく、ターゲットユーザーに適した各種メディアのアプローチが必要であるとしているものの、最終的には自社コンテンツサイトへと導き、発信するコンテンツの主導権を握っていくべきだとしています。

エピックとは?

さて、コンテンツマーケティングの定義が分かったところで、エピックとは何なのかを紐解いていきましょう。
書籍発行時の北アメリカでは、90%の企業がコンテンツマーケティングを実施していましたが、その内容はめちゃくちゃで、迷走とも言える状況でした。

そこで、「エピック(Epic)」を「壮大な、堂々とした規模の、大航海」と定義し、コンテンツマーケティングは壮大で長く続くブランドストーリーでなければならない、という願いを込め、エピックの文字を冠しているのです。
この言葉を聞いたところで、曖昧で具体性に欠けた夢のようなものに聞こえますが、具体的に実行することを直視していくと、この言葉の意味するところが分かってきます。
そもそも、コンテンツマーケティングはユーザーの信頼を勝ち得るものでなければいけませんが、だとしたら、どのようなコンテンツを配信していけばいいのでしょうか?
そうです。ユーザーにとって有益、もしくは楽しませるようなコンテンツです。

それでは、有益なコンテンツはそれほど簡単に用意できるのでしょうか?
仮に有益なコンテンツを作成できたとしても、数記事書いて終了ではありません。コンテンツマーケティングを続ける以上、継続的にコンテンツを発信していかなければならないのです。
そのように考えると、簡単にはいかないことが想像できるでしょう。
そこで出てくるキーワードが「エピック」です。
エピックであることは、近視眼的な目標にとらわれず、コンテンツを生み出す体制を構築し、「堂々と壮大に」配信し続ける仕組みづくりと言えます。

エピックなコンテンツマーケティングの仕組みづくりとは?

さて、完璧なコンテンツマーケティングの手法があるとして、全ての企業がそれを実行したらどうでしょう? 全く同じコンテンツを生み出してしまい、差別化がまったく図れないため、企業の魅力は見えてきません。
そこで、自分の言葉で語り、自社それぞれにあった内容のコンテンツを配信していくことが求められます。無機質な企業の顔に人間味を持たせるのです。

信頼を得るためのルールを作る

また、壮大なブランドを訴えていくにあたって、前述の通り、ユーザーの信頼を得る必要があります。
これにはまず、コンテンツ内容にブレのない一貫性が伴っていなければなりません。この一貫性とは自社コンテンツの内容に限らず、ソーシャルメディアやメールマーケティング、その他の企業活動におけるものも含めます。そのためには責任者を設け、コンテンツの方向性がバラバラにならないような組織づくりが必要です。

また、信頼を得るには定期的な配信が必要になります。これは、日にちだけではなく、時間まで制御したカレンダーです。毎回、同じ曜日の同じ時間に配信していくことが、ユーザーとの約束事として信頼関係を生み出すことになります。
コンテンツマーケティングは長期的な戦略になるため、さまざまな決まり事なしには運営できないとしています。そこで編集カレンダーの作成を薦めており、その内容はコンテンツ配信の期日のみならず、コンテンツのガイドラインも設定します。長く運営していくと、コンテンツの軸がズレていってしまうためです。
エピックであるためには計画性が必須なのです。

コンテンツマーケティングの効果を測定する

このように考えていくと、エピックなコンテンツマーケティングを運営するためにはさまざまな決まり事を設定しなければならず、その内容は経営的判断が必要なことから、現実的な運営方法を考えるならば、責任者にどのように納得して動いてもらうべきか、というところまで考えなくてはなりません。
そこで、著者は企業の役員が知りたい目標の設定と、運営者の目標を設定するところまで解説しています。

経営者が知りたい情報とは、
・コンテンツによって、売上が伸びているのか?
・コンテンツによって、コストを削減できているのか?
・コンテンツによって、顧客満足度、ひいては顧客維持を実現しているのか?

としており、これ以外の情報は、逆に経営層には見せないようにとしています。

コンテンツの目標対効果―ROO(目標対効果)

コンテンツマーケターとしての目標は、ROI(費用対効果)よりもROO(目標対効果)によって基準がいいとしています。その理由として、コンテンツマーケターの目標が純粋にコンテンツ内容に定められるからとのことです。

そして、このROOは企業それぞれに異なるとしているものの、キッカケとして以下のような項目を見ることによって、何が自社にとっての最適なのか見えてくるということです。

・コンテンツマーケティングを受け取っている人との売上の比較
・オンライン読者を調査し、顧客が望ましい方向にエンゲージしているのかどうか
・滞在時間(エンゲージメント)は向上しているのか
・認知度は向上しているのか

そして、コンテンツ施策の評価を行うために例として挙げているのは、流入から売上までの
ファネルを、以下のような三分割にしたピラミッド構造です。これにより、ゴールを目指し
た目標設定を行うとしています。

───────────────(例)───────────────
・一次コンテンツ指標:経営層が知りたい情報
(売上、コスト、顧客維持率)
・二次コンテンツ指標:チームメンバーで共有する目標
(見込み顧客の質と量、セールスサイクルの短縮など)
・ユーザー指標
(ウェブトラフィック、いいね数、PV数、検索順位など)
──────────────────────────────────

経営者に見せる「一次コンテンツ指標」を目指し、どのような「二次コンテンツ指標」が適しているのかを選び出し、その目標に向かって改善策を週、月、四半期ごとに見ていきます。
「ユーザー指標」は二次コンテンツ指標を改善するにあたって、どの数値を改善していくべきか洞察を与えてくれる指標になります。
このように上位の目標から設定し、分けていくことで、改善するべきポイントなどを絞り込むことができるわけです。

コンテンツの費用対効果―施策ごとのROI(費用対効果)

また、もう一つの測定の方法として、ROIをそれぞれの施策ごとに分け、投資額からもたらす利益から影響力をみていく方法もあります。単純に利益率だけをみるのではなく、コンテンツの制作を外注した場合と、社内で作成した場合の時間当たりのコストなど見比べることで、このコンテンツの配信プロセスが最適なのかどうかを見極めることが重要となってきます。

最後に

この書籍に書かれていることは、コンテンツマーケティングについてであることは当然ですが、人に望まれる「堂々とした」ものでなければならない、というところにポイントがあります。
他のコンテンツマーケティングについて書かれた記事や書籍においても、ユーザーに有益なコンテンツを配信しましょう、と説明されているものですが、コンテンツマーケティングをマラソンのような長期的な施策であると考え、組織化、仕組みづくり、定期的なコンテンツ配信での信頼獲得という視点に、エピックの意味を深く感じます。

当コラムにおいても、ユーザーとの信頼関係を築くことを忘れず、現実的に運営していく方法を模索しながら更新していきたいと思います。

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